コラム 2022年

2022/12

免税事業者がインボイス制度を機に課税事業者になるメリットは?

免税事業者であっても登録を済ませれば課税事業者になれる

2023(令和5)年10月1日から、インボイス制度がスタートします。簡単に言うと、消費税の仕入税額控除を行うために、インボイス(適格請求書)の発行・保管が必要になる制度です。そして、インボイスを発行するためには、適格請求書発行事業者にならなくてはいけません。

適格請求書発行事業者になるには、消費税の課税事業者であることが条件です。すでに消費税の課税事業者である場合はさほど問題はありませんが、現時点で免税事業者の場合はどうなるかが問題になります。この場合、原則として2023(令和5)年3月31日までに適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しなくてはいけません。

ただし、2023年(令和5年)10月1日から2029年(令和11年)9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録日から課税事業者となる経過措置が設けられています。いずれにしても、免税事業者であっても登録を済ませれば課税事業者になれると考えて構わないでしょう。


メリットは仕入先として選んでもらいやすくなること

ここで、免税事業者がインボイス制度を機に課税事業者になるメリットを考えてみましょう。

一言でまとめると、仕入先として選んでもらいやすくなることです。取引先側からすれば、仕入税額控除を受けられるかどうかは重要な問題になります。仕入税額控除ができないと、仕入れたときに支払った消費税額を納税額から控除できません。つまり、自分たちで納税すべき税額が増え、損をしてしまいます。

できることから免税事業者とは取引したくない、と考える事業主がいても不思議ではありません。インボイスを発行できないから、という理由で取引を断ってくるリスクはやはり上がります。インボイス制度導入後は適格請求書に登録番号が付される予定です。そのため、請求書に登録番号がなければ免税事業者であるとすぐに見抜かれてしまう点にも注意が必要です。

ただし、課税事業者になった場合は、消費税の納付義務が生じる点にも注意が必要です。納税に耐えうるだけの事業基盤を用意できるかどうかも、併せて考えたほうが良いでしょう。

いずれにしても、早めに税理士に相談し、適格請求書発行事業者に登録するか否かを検討するのをおすすめします。

2022年11月執筆


2022/11

【要活用】被災地の企業必見!災害時に使える税制上のフォロー

災害のために納税できない場合はどうすべき?

世界的に見て、日本の災害の多さはトップクラスです。2011年3月に発生した東日本大震災や2018年7月に発生した広島市の豪雨災害など、日常生活はもちろん、企業活動にも影響を及ぼす激甚災害も少なくありません。2022年9月に発生した台風15号による静岡県の豪雨災害も記憶に新しいところです。このような災害が原因で損失を受けた場合は、税制上の優遇策が利用できます。いくつか紹介しましょう。

まず、全積極財産(財産から負債などを除外した額)のおおむね20%以上の損失を受けた場合は、納税の猶予が受けられます。 「災害等により被害を受けたことにつき、一時に納付することができないと認められる国税」です。所得税、法人税、相続税、贈与税、給与の源泉所得税、消費税など、納める予定だった国税なら認められる可能性があるので、事前に確認しましょう。

猶予期間は原則として1年以内です。ただし、損害が深刻な場合など、やむを得ない理由があればすでに認められている猶予期間と合わせて2年を超えない範囲内で、猶予期間の延長が受けられます。最大で3年間まで猶予を受けられると考えましょう。

なお、この制度を利用するためには、原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保を提供しなくてはいけません。猶予期間が3カ月以内もしくは猶予金額が100万円以下の場合に加え、特別の事情がある場合も不要になる仕組みです。担保の提供が難しい場合も、一度相談してみるのをおすすめします。


その他の利用できそうな制度も押さえておこう

一度災害が起きると、商品や店舗に損害が生じるので、それを修繕しなくてはいけません。

これらは損失や経費として計上できます。

また、災害による損失を計上した結果として損金(赤字)が発生した場合は、発生した事業年度から10年間にわたって繰越控除が可能です。 

加えて、災害特別損失勘定も利用できます。 簡単にいうと、災害にかかる支出を前倒しで負債として計上する引当金のようなものと考えましょう。ただし、利用するにあたっては、災害損失特別勘定に関する明細書 を添付しなくてはいけません。

従業員に当座の生活費として災害見舞金を渡すことも、精神的・金銭的なフォローとしては有効です。この場合、以下の条件を満たせば災害見舞金を福利厚生費として扱えます。 

被災した全従業員に対して被災した程度に応じて支給されていること

金額が受け手の従業員の社会的地位に合わせた見舞金と社会通念上妥当であること

日本に住んでいる限り、災害にまったく遭わない可能性は低いです。「災害はいつか起きるもの」と考え、普段から入念に準備しましょう。仮に起きてしまった場合でも、今回紹介した税金上の負担を和らげられる制度も上手に活用してください。


2022/10

副業収入300万円以下は雑所得に。従業員に伝えるべきことは? 

パブリックコメントは締切済み 

2022年8月に、Webメディアを駆け巡った「副業収入300万円以下は雑所得に」というニュースがありました。2022年8月1日に国税庁が発表した所得税基本通達の一部改正案に関する報道です。[1]  

簡単にまとめると、会社員が本業の傍ら副業を営んだ場合、年間収入が300万円以下だったときは事業所得ではなく雑所得として扱う方向での改正が検討されています。この件に関し、国税庁は8月31日までパブリックコメントを募集していました。結果はまだ公表されていないため、動向を注視したほうが良いでしょう。 

そもそも、副業で得られた所得が事業所得にあたるかの判定基準は、これまでは非常にあいまいだったのも事実です。「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務をいうもの」であれば事業所得とされてきました。[2]   

しかし、所得税基本通達の一部改正案は「1年で300万円」という明確なボーダーラインを示しています。1年で300万円ということは、1カ月で25万円の収入が少なくとも必要になるという意味です。 

大手求人広告代理店の株式会社マイナビが行った調査によれば、副業で実際に得ている収入の平均は5万9,782円とのことでした。 

出典:株式会社マイナビ「副業の平均月収は「5万9,782円」。希望と実態のギャップは「7万2,764円」で半分に届かず」 

仮に案の通りに改正がなされた場合、会社員が営む副業のほとんどが雑所得として扱われる可能性が出てくるでしょう。 

事前にしかるべき機関・専門家への相談を

2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、国としても会社員の副業を認める方向に舵を切りました。そのため、副業をすでに解禁していたり、解禁する方向で検討していたりする会社も珍しくありません。仮に、自社の従業員から副業を行いたいと申し出があった場合は、本業に支障をきたさない程度であれば容認しても良いでしょう。 

しかし、その際は気を付けるべき点がいくつかあります。まず、本業・副業の区別をつけ、健康を害さないよう時間管理をした上で取り組むように伝えましょう。加えて、同業他社での副業を禁止するなど、情報漏洩が生じるリスクの軽減策を講じるのも重要です。 

そして、仮に今回の改正案が確定した場合は、副業による収入が雑所得に当たる可能性も認識しておくべき点を伝えてください。雑所得に当たる場合、事業所得の場合とは違い給与所得との損益通算はできません。その上、本来は雑所得であるにも関わらず、事業所得として申告した場合、税務調査で修正申告を求められる可能性が出てきます。事前に税務署や税理士など、しかるべき機関・専門家に相談するよう伝えましょう。

しかし、その際は気を付けるべき点がいくつかあります。まず、本業・副業の区別をつけ、健康を害さないよう時間管理をした上で取り組むように伝えましょう。加えて、同業他社での副業を禁止するなど、情報漏洩が生じるリスクの軽減策を講じるのも重要です。

そして、仮に今回の改正案が確定した場合は、副業による収入が雑所得に当たる可能性も認識しておくべき点を伝えてください。雑所得に当たる場合、事業所得の場合とは違い給与所得との損益通算はできません。その上、本来は雑所得であるにも関わらず、事業所得として申告した場合、税務調査で修正申告を求められる可能性が出てきます。事前に税務署や税理士など、しかるべき機関・専門家に相談するよう伝えましょう。


2022/09

会社を廃業するときの事業年度の扱い。会社の種類次第なので要注意!

会社を廃業するときの事業年度は?

どんな会社であっても、長続きすればそれに越したことはありません。しかし、2018年度時点での廃業率は3.5%となっていることからもわかるように、一定数の会社は廃業に追い込まれています。

参照:中小企業庁「2020年 小規模企業白書(HTML版)」

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b1_3_1.html

特に、昨今は新型コロナウイルス感染症の影響で、事業の先行きが不透明になりがちです。

安定した収益を得られる見込みがなければ、一度会社を清算し、次の手を考えるのも1つのやり方でしょう。

さて、会社を廃業する流れになった場合でも、税務申告はしなくてはいけません。本来、税務申告は事業年度が開始した日から終了した日の1年間について行います。しかし、会社を廃業する=解散、清算することになった場合は、その会社の種類によっても扱いが異なるため注意しましょう。


まず、株式会社の場合は以下の通りです

解散事業年度:本来の事業年度開始の日から解散の日まで

清算事業年度:解散日の翌日から1年ごと

※その他、清算事業年度の途中で残余財産が確定した場合は、その事業年度開始の日から残余財産の確定日までが、1つの事業年度として扱われる


一方、合名会社、合同会社、協同組合など、株式会社以外のケースでは以下のように扱われます

解散事業年度:本来の事業年度開始の日から解散の日まで

清算事業年度:解散の日の翌日から定款で定めた事業年度終了の日


具体例で考えてみよう

説明だけだとわかりにくいので、具体例を用いて考えてみましょう。事業年度開始の日が4月1日、終了の日が翌年の3月31日という株式会社があったとします。この会社がある年の9月30日で解散することになりました。さらに翌年の6月30日には、残余財産確定日を迎えています。

この場合、解散事業年度、清算事業年度、残余財産確定事業年度は以下の通りです。

解散事業年度:4月1日から9月30日まで

清算事業年度:10月1日から翌年の9月30日まで

残余財産確定事業年度:10月1日から翌年の6月30日まで

一方、この会社が合同会社だった場合、扱いが変わります。

解散事業年度:4月1日から9月30日まで

清算事業年度:10月1日から翌年の3月31日まで


なお、実際に会社を清算する場合は、弁護士や税理士などの専門家に必ず相談しましょう。

これまでにしてきた取引を無責任に終わらせてしまうと、思わぬところで損害賠償を請求される恐れがあります。従業員を雇っていた場合は、解雇することになるため、事前に話をし、理解を得るのが不可欠です。決して、自分ひとりだけで勝手な判断はしないのをおすすめします。


※参考にしたWebサイト※

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/070313/02.htm

http://contents.aokikaikei.or.jp/view.php?page=news-co


2022/08

外注費は取扱注意。税務調査で否認されないためのポイント

外注費が給与と否認されると何が起きるのか

事業を営む際には「人を雇うほどではないけど、誰かにやってほしい仕事」が発生するのは珍しくありません。たとえば「自社のWebサイトに掲載する文章を外部のライターに発注する」「電話代行サービスを使う」などは、取り入れている会社も多いでしょう。このような「外部の人に何か仕事を外注する」場合に支払う費用は、経理上外注費として処理するのが一般的です。また、外注費は課税仕入れに該当するため、消費税の算出にあたって仕入税額控除の対象にもなります。

ここで注意しなくてはいけないのが「実態は限りなく従業員への給与に近いのに、あえて外注費で処理していたケース」です。会社に税務調査が入ったら、外注費についてもくまなくチェックされます。その結果「これは給与として処理すべき」と判断される=給与と否認された場合のダメージは大きいので注意しましょう。

まず、消費税の仕入税額控除も否認されるため、過年度分の修正申告が必要になります。その際、加算税をすぐに払わなくてはいけない以上、資金繰りにも悪影響を及ぼすでしょう。

また、給与と判定された場合は認定された金額に応じて源泉所得税を納めなくてはいけません。理論上、源泉所得税を外注先に請求してもかまいませんが、快く応じてくれる外注先ばかりとは限らないでしょう。一言でまとめると「何かと面倒くさいことになる」ので、扱いには注意してください。


外注費が給与認定されないためにはどうすれば良い?

そこで、具体的に何をすれば外注費が給与と否認されないかを考えてみましょう。大切なのは「給与ではない」という根拠を用意することです。たいていの会社では、外注にあたって業務委託契約書を取り交わしているかもしれませんが、これは忘れずに行いましょう。

また、従業員が受けるような時価的な拘束を外注先に強いてはいけません。使用従属性がある=雇用主からの命令や指示に従わなくてはいけない状況になっていると判断されるためです。タイムカードをつけさせたり、残業代を払ったりするのはやめたほうが良いでしょう。

外注先に請求書を作ってもらうのも有効です。通常、従業員に給与を支払う際に、従業員に請求書を作ってもらうことはありえない以上、あきらかに「これは給料ではありません」という証明になります。加えて、外注費の支払いを従業員への給与支払日と違う日にするのも有効でしょう。たとえば、外注費の支払いは月末に、給与支払日は毎月10日にすればはっきりとした差がわかります。

実務上は、下記の内容を総合的に考慮して雇用契約か請負契約かを判断します。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━┳━━━━┓

┃                        ┃雇用契約┃請負契約┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(1)契約の内容が他人の代替を受け入れるかどうか┃YES ┃ NO ┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(2)個々の作業について指揮監督を受けるかどうか┃YES ┃ NO ┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(3)引渡しの終わっていない完成品が不可抗力によ┃YES ┃ NO ┃

┃   り滅失した場合において、その者が報酬の請求┃    ┃    ┃

┃   をすることができるかどうか(危険負担)  ┃    ┃    ┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(4)材料が提供されているかどうか(費用負担) ┃YES ┃ NO ┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(5)作業用具が提供されているかどうか     ┃YES ┃ NO ┃

┃   (費用負担)               ┃    ┃    ┃

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┻━━━━┻━━━━┛


2022/07

昔出した申告書を確認したい!申告書等情報取得サービスを使おう

従来から知る方法はあったものの

過去に提出した申告書を確認したいと思っても、常に控えを整理してあるとは限りません。

そのような場合、閲覧請求か開示請求を利用して確認するのが一般的な方法でした。

閲覧請求とは、納税者本人または代理人が税務署に出向き、窓口で過去に提出した申告書を閲覧させてもらうことです。メモ、写真撮影はできますが、紙面で何かをもらうことはできません。あくまで「どんなことを書いていたか」を知るための方法と考えたほうが良いでしょう。

一方、開示請求とは「保有個人情報開示請求書」を提出し、確定申告の控えを受け取る方法を指します。申告書の控えを紙でもらうことができますが、通常2週間から1カ月かかるため「すぐに手に入れたい」という場合には向いていません。

いずれにしても、税務署に自分や代理人(顧問税理士や家族など)が出向かなくてはいけないため、平日仕事をしている人にはハードルが高い方法でした。納税者にとってはあまり使い勝手がよくなかったのも事実です。


申告書等情報取得サービスでずっと便利に

しかし、新たに始まった申告書等情報取得サービスにより、確認のハードルが下がっています。

申告書等情報取得サービスとは、簡単に言うとe-Taxを経由して過去に提出した申告書のPDFファイルを取得できるサービスです。書面またはe-Taxにより提出した所得税及び復興特別所得税確定(修正)申告書、青色申告決算書、収支内訳書のPDFファイルがダウンロードできます。

申告書等情報取得サービスはパソコン、スマートフォンから利用可能です。申請からダウンロードまでの手順はe-TaxのWebサイトで確認できるので、実際にやってみると良いでしょう。

なお、対象となるのは直近3年分(令和2年以降)です。申告書等情報取得サービスの利用に当たってはマイナンバーカードが必要なので、用意しておきましょう。また、申請からPDFファイルの取得までには、数日間かかるので注意が必要です。

あくまで「自分がどんな申告書を出していたか確かめる」目的であればかなり便利になります。

一方で、直近3年分までしか対象となっていなかったり、代理人や相続人は利用できなかったりなど、従来からある制度にかなわない部分もあるでしょう。もし、過去の確定申告書を確認したいけど、自分が税務署に出向くのが難しい場合は、顧問税理士にも相談し、うまく連携するのをおすすめします。

2022/06

補助金も助成金も課税対象になるので要注意。主なケースをまとめました

トラブルの引き金になるので要注意

一定の条件に当てはまれば受け取れる補助金や助成金は、事業の後押しをしてくれる何かと重宝する制度です。しかし、実は課税対象になる補助金や助成金もあることを知っておかないと、後々修正申告が必要になるなどトラブルの原因にもなります。特に、2020年初頭から世界中でまん延した新型コロナウイルス感染症の影響で補助金や助成金を受け取っていた場合は、正しい処理が行われているかを改めて確認するようにしてください。

まず、持続化給付金など事業者を支援するための給付金制度を利用した場合、課税関係はどうなるかみてみましょう。持続化給付金、家賃支援給付金、都道府県の休業・時短要請協力金を受け取っていた場合、法人であれば法人税、個人事業主であれば所得税の課税対象になります。ただし、消費税の課税対象にはなりません。従業員の雇用維持を図るために支給される雇用調整助成金や「新しい生活様式」に対応したビジネスモデルへの転換に対する取り組みのために支給される小規模事業者持続化補助金も同じ扱いをします。

一方、補助金や助成金であっても、税法やその他の法律ではっきりと「非課税」と規定されれているものは、課税されません。たとえば、企業主導型ベビーシッター利用助成の割引券や、雇用保険の失業等給付、子育て世帯への臨時特別給付金などがこれにあたります。

計上のタイミングや仕訳についても知っておこう

課税対象となる給付金や補助金を受け取っていた場合は、確定申告をしなくてはいけません。受け取った金額を収益として計上し、確定申告を行う流れです。

たとえば、持続化給付金の場合は、一般的に「雑収入」として仕訳を行います。100万円の持続化給付金を受取、事業用口座に入金した場合は「(借方)普通預金 100万円 (貸方)雑収入 100万円」、事業用以外の口座に入金された場合は「(借方)事業主貸 100万円 (貸方)雑収入 100万円」と記帳しましょう。

また、計上するタイミングにも注意が必要です。補助金や助成金の受給が決まった場合、国や地方公共団体などの組織から、支給決定通知書が届きます。支給決定通知書が届いたタイミングで行いましょう。実際のところ、申請を行ってから採択・支給の決定、入金までかなり時間がかかるので、会計年度をまたいでしまうことも珍しくありません。会計年度をまたいでしまいそうな場合は、支給決定通知書が届いた時点で「(借方)未収入金 100万円 (貸方)雑収入 100万円」と仕訳をし、実際に入金されたタイミングで「(借方)普通預金 100万円 (貸方)未収入金 100万円」と仕訳をしましょう。

2022/05

従業員への金銭の貸付には利息を。前借りの希望に応じるのはNG

利息をつければ給与として課税されない

決められた給料でのやりくりを心がけていたとしても、イレギュラー事象が生じ、短期間で多額の金銭が必要になることは誰にだってあり得ます。従業員がそのような状況に陥った場合に金銭を用立てるために、福利厚生の一環として従業員貸付制度を導入するのも1つの手段でしょう。

しかし、従業員貸付制度を導入する際に気をつけなくてはいけないことがあります。一部の例外を除いて、従業員だからといって無利息で貸し付けるのはやめたほうが無難です。所得税法および所得税基本通達においては、会社が役員や従業員に対し金銭を貸し付ける場合の利息相当額について定めがあります。 

仮に、この定めを下回る利息(無利息も含む)で金銭を貸し付けた場合は、一部の例外を除き、定めにおける利息額と実際に支払う利息額との差額が給与として課税されるので注意しましょう。

なお「一部の例外」とは、具体的には以下の3つのケースを指します。

災害や病気が原因でまとまったお金が必要になったので、合理的な範囲で貸し付けを行う

借入金の平均調達金利など合理的な利率を決め、その範囲で貸し付けをする

定めにおける利息額と実際に支払う利息額との差額が年間5,000円以下だった

「前借りさせてください」に応じるのはNG

従業員が金銭に困り、会社に「給料の前借りをさせてください」と言ってくることがあるかもしれません。しかし、これには絶対に応じないようにしましょう。労働基準法では、出産・結婚・病気・災害などの理由で緊急にお金が必要になった場合、給料日前でも給料を払うよう定めています。 しかし、これはあくまで「既に働いた部分についての給料を、給料日より前に支払う」という意味です。

前借りだと「まだ働いていない部分についての給料を借りて、後々働いて返済していく」という意味になります。つまり、従業員が後々「やっぱりこの会社辞めたい、でも給料を前借りしているから辞められない」という状態に陥ることもあるのです。これは、労働基準法第5条において禁止されている強制労働に当たる可能性があります。いずれにしても、会社と従業員との間で、深刻なトラブルに発展するおそれがあるので、注意しましょう。

そのため、仮に従業員から「給料の前借りをさせてください」という申し出があったら、まずはどういう理由でお金が必要なのかを聞きましょう。出産・結婚・病気・災害など合理的と認められる理由であったら、既に働いた分の給料を前払いする形で対応するのが無難です。また、それでも足りない可能性がある場合は、従業員貸付制度を通じて借入をするよう促しましょう。

なお、従業員貸付制度を導入する際は、就業規則の一部として社内貸付規定を作成し、労働基準法に定められた手続きを経なくてはいけません。抜け・漏れがないようにするためには、社会保険労務士などの専門家に相談しながら進めましょう。


2022/04

後だしNG!簿外経費は損金不算入になる可能性大

後から「実はこれだけかかっていて」と言ってもアウト

税務調査においては、調査官から帳簿など必要な書類を見せるようもとめられた場合は、指示通りに出さなくてはいけません。「守秘義務があるから」と見せるのを拒んだり、いわゆる裏帳簿など虚偽の内容の書類を見せたりした場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます(国税通則法第128条)。しかし「わざと見せなかったわけではなく、単に記録が追い付いていなかった場合」はどうなるのでしょうか。

例えば、社内に経理担当者が1人しかいなかったり、事業主が自ら経理処理をしたりしているなどの事情があり、本来は帳簿に記録すべき経費があったとしても、記録が追いついていないケースを考えるとわかりやすいでしょう。この場合、本来であれば他の書類も調査し、実際に経費が生じたのかを調査するのがしかるべき対応なのかもしれません。しかし、仮想隠蔽や無申告など、既に重いペナルティを与えるべき事態にまで綿密に調査を進めるのは、時間や費用の面から見て現実的ではないでしょう。

このような背景もあり、令和4年度税制改正においては、簿外経費の扱いについて一定のルールが設けられました。詳しくは後述しますが、税務調査に至った段階で「実は帳簿に記録していない部分でこれだけ経費がかかっていて」と主張しても認められないということです。

仮装隠蔽又は無申告に係る簿外経費の必要経費・損金不算入とは

簡単にまとめると、仮想隠蔽が疑われたり、無申告だったりした年分(事業年度)において、納税者が確定申告書に記載しなかった費用があったとしても、以下のいずれかにあてはまらない限りは、必要費用として認められない(損金不算入)ということです。

保存する帳簿書類等により明らかに経費がかかったことがわかる

保存する帳簿書類等により取引の相手先や発生した事実が明らかで、反面調査を行って証拠も入手できた

この規定は、個人については2023(令和5)年分以降の所得税について、法人については2023(令和5)年1月1日以降に開始する事業年度から適用されます。そもそも、仮想隠蔽や無申告の場合、無申告加算税や過少申告加算税などのペナルティの対象となるため、注意しましょう。また、発生した取引についてはもれなく記録し、適切なタイミングで記帳するのをおすすめします。あくまで、今回盛り込まれた規定は仮想隠蔽や無申告など、明らかに不適切なケースを想定したものです。しかし、適切に申告をしている場合でも、記帳がない場合、税務調査において調査官から追及される可能性が高くなります。「これはどう扱えば良いのかわからない」という場合は、適宜税理士に相談し、対応を進めましょう。


2022/03

新型コロナによる申告期限の個別延長。より簡便な方法も利用可能に


わりと幅広い状況で個別延長は認められる

2020年1月に新型コロナウイルス感染症の発生が報道されてから2年以上経過しました。

ワクチンの接種、治療薬の承認など明るい話題もありますが、変異株の出現による大規模な学級閉鎖などまだまだ頭の痛い状況は続きそうです。

このような状況下において、国税庁は公式Webサイトの「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を更新しました。

簡単にまとめると「やむを得ない理由がある場合は、申告期限を個別に延長することができる」というものです。

まず、やむを得ない理由として「感染症にかかった」「発熱しているなど、感染した疑いがある」「濃厚接触者になった」「基礎疾患があるため重症化リスクが高い」などが挙げられています。

また、顧問税理士や経理責任者が感染者・濃厚接触者になった場合や、学校・保育園が休校になり経理担当者が業務を進められない場合も「やむを得ない理由」に含まれるのです。

これらの理由により、申告書・決算書類など必要な書類の作成が遅れ、期限通りに申告・納付を行うことができない場合は、期限の個別延長が認められます。


個別延長を認めてもらうには?                                                                                                                

申告期限の個別延長を認めてもらう方法ですが、所轄税務署長に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出し、その承認を受けるのが原則です。

承認を受けられれば、その理由が止んだ日(例:濃厚接触者として認定されたものの、自宅待機期間が終了した)から2ヵ月以内の範囲で個別指定による期限延長が認められます。

ただし、申告所得税、贈与税、個人事業者の消費税の確定申告については扱いが異なります。

2022年3月15日(消費税は同年3月31日)の期限までに申告が困難な場合、同年4月15日までの間であれば、申告書の余白(e-Taxの場合は所定欄への入力)に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と付記すれば足りるのです。

ただし、4月16日以降に申告期限の個別延長の手続きをする場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出する方法によります。

なお、法人税・相続税といったその他の税目についても、申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載すれば、期限を延長することが可能です。

e-Taxを用いる場合は、「電子申告及び申請・届け出名」欄又は「添付書類名」欄に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力し、e-Tax申告書と同時送信しましょう。

2022/02

従業員に給料を上げると節税になる!?賃上げ促進税制とは?

先進国でも各段に年収が低い日本

日本は、世界でもトップクラスの先進国です。しかし、最近は勢いに陰りが出ていると言われています。そのことが表れている指標の1つが、平均年収です。OECD(経済協力開発機構)がまとめた世界各国の平均賃金の統計によれば、日本の平均月収は38,515ドルとのことでした。国税庁が発表している「令和2年分民間給与実態統計調査」によれば、平均給与が433万円だったので、そう変わりがありません。

・世界各国の平均賃金 

参考URL  https://www.oecd.org/tokyo/statistics/average-wages-japanese-version.htm

・令和2年分民間給与実態統計調査

参考URL https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf


問題はここからです。実はこの年収は、先進国の中でも各段に低いと言われています。アメリカの平均月収が69,392ドルとずば抜けているのは何となくわかるでしょう。しかし、日本よりも月収が低いイメージがかつてはあった韓国の平均月収は41,515ドルに達しています。今後、平均月収がどうなっていくのかは誰にもわかりませんが、日本がこのまま平均月収・年収の低い国になっていく可能性もゼロではありません

賃上げ促進税制とは


もちろん、日本政府もこの事実を黙って見過ごしているわけではありません。あの手この手で賃金を上げようと努力はしています。その一環として設けられたのが「賃上げ促進税制」です。簡単に言うと、青色申告書を提出する全企業(大企業・中小企業・個人事業主)に対し、一定の条件を満たすと最大で40%の税額控除が受けられます。中小企業の場合の条件をみてみましょう。


賃上げ促進税制

参考URL:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai/pamphlet.pdf


まず、雇用者全体の給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加した場合は、15%の税額控除が受けられます。さらに、2.5%以上増加した場合は、税額控除の率が30%にまで上がります。これらの条件を満たしたうえで、教育訓練費が前年度比で10%以上増加した場合は、さらに10%の税額控除が受けられるのです。


なお、これらの賃上げ促進税制は、青色申告書を提出する中小企業・個人事業主であれば利用できます。適用期間は令和4(2022)年4月1日から令和6(2024)年3月31日までの間に開始する各事業年度です。個人事業主の場合は、令和5(2023)年および令和6(2024)年の各年が対象となります。  

条件に沿って賃上げをし、従業員に対する教育を行うことで税制情の優遇が受けられるWin-Winの施策なので、税理士とも連携し、早めに準備を進めると良いでしょう。


2022/01

電子帳簿保存法が改正!変更のポイントを押さえよう

2022年1月1日から義務化が開始する予定であった電子取引に関わる電子データの保存義務について、2年(令和5(2023)年12月31日まで)の猶予期間が設けられることが示されました。

*以下の情報は2021年11月末までの情報になります。

なぜ、いま改正されることになったのか?

電子帳簿保存法とは、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号)」と言います。平たくいうと「電子計算機=パソコンを使って作る国税関係帳簿書類について、紙ベースだけでなく、電子化=データ化して保存することを認める」法律です。

この法律自体は平成10(1998)年からありましたが、IT技術の発展とともに、実情にあった法改正が行われてきました。2022年の電子帳簿保存法では「経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上・記録水準の向上」が1つの目的に掲げられています。

2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の流行でリモートワークが広がったり、官民挙げてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したりと、日本でも着実にデジタル化は進行しているのが実情です。2022年の電子帳簿保存法の改正も、この動きに鑑みたものである側面を有しているでしょう。

*2022年1月1日から義務化が開始する予定であった電子取引に関わる電子データの保存義務について、2年(令和5(2023)年12月31日まで)の猶予期間が設けられることが示されました。

大きな変更点は5つ

具体的に、どんな点が変更されたのかみてみましょう。大きなポイントとなるのは、以下の5つです。

1つ目は「事前承認制度の廃止」です。これまでは、国税関係帳簿・書類については、電子データやスキャナで読み込んだ画像データで保存したい場合、原則として3ヶ月前までに所管の税務署長に申請し、承認を受けなくてはいけませんでした。しかし、改正法が施行されたあとは、この手続きがいりません。

2つ目は「システム要件緩和と優良保存認定制度の新設」です。改正法の施行後は「システム関連書類等(概要書、仕様書、操作説明書、事務処理マニュアルなど)の備え付け」「パソコン、プログラム、ディスプレイの操作マニュアルがすぐに出力できるようにすること」「税務職員による質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じられること」の3つを満たせば、電子データでの保存ができるようになります。

3つ目は「検索項目の簡素化」です。改正法の施行後は、国税関係帳簿・書類の電子データ、画像データにおける検索項目が「日付」「取引金額」「取引先」のみになります。

4つ目は「適正事務処理要件の廃止」です。これまでは、不正防止の観点から社内規程の整備」や「相互けん制」「定期的な検査」といった適正事務処理要件が定められていました。つまり、紙の書類をスキャンしてデータ化しても、原本となる紙の書類は残しておかないといけなかったのです。しかし、施行後はこの手続きが不要になります。

5つ目は「スキャナ保存のタイムスタンプ要件緩和」です。これまでは「受領者が自署」した上で「3営業日以内にタイムスタンプ付与」が条件でした。しかし、今後は「自署不要」「最長約2ヶ月と概ね7営業日以内にタイムスタンプ付与」が条件となります。また、「データの修正や削除の履歴が残る、または修正や削除ができない」「入力期限内にデータを保存したことが確認できる」仕様のクラウドサービスを利用しているなら、タイムスタンプもいりません。