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2022/09

会社を廃業するときの事業年度の扱い。会社の種類次第なので要注意!

会社を廃業するときの事業年度は?

どんな会社であっても、長続きすればそれに越したことはありません。しかし、2018年度時点での廃業率は3.5%となっていることからもわかるように、一定数の会社は廃業に追い込まれています。

参照:中小企業庁「2020年 小規模企業白書(HTML版)」

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b1_3_1.html

特に、昨今は新型コロナウイルス感染症の影響で、事業の先行きが不透明になりがちです。

安定した収益を得られる見込みがなければ、一度会社を清算し、次の手を考えるのも1つのやり方でしょう。

さて、会社を廃業する流れになった場合でも、税務申告はしなくてはいけません。本来、税務申告は事業年度が開始した日から終了した日の1年間について行います。しかし、会社を廃業する=解散、清算することになった場合は、その会社の種類によっても扱いが異なるため注意しましょう。


まず、株式会社の場合は以下の通りです

解散事業年度:本来の事業年度開始の日から解散の日まで

清算事業年度:解散日の翌日から1年ごと

※その他、清算事業年度の途中で残余財産が確定した場合は、その事業年度開始の日から残余財産の確定日までが、1つの事業年度として扱われる


一方、合名会社、合同会社、協同組合など、株式会社以外のケースでは以下のように扱われます

解散事業年度:本来の事業年度開始の日から解散の日まで

清算事業年度:解散の日の翌日から定款で定めた事業年度終了の日


具体例で考えてみよう

説明だけだとわかりにくいので、具体例を用いて考えてみましょう。事業年度開始の日が4月1日、終了の日が翌年の3月31日という株式会社があったとします。この会社がある年の9月30日で解散することになりました。さらに翌年の6月30日には、残余財産確定日を迎えています。

この場合、解散事業年度、清算事業年度、残余財産確定事業年度は以下の通りです。

解散事業年度:4月1日から9月30日まで

清算事業年度:10月1日から翌年の9月30日まで

残余財産確定事業年度:10月1日から翌年の6月30日まで

一方、この会社が合同会社だった場合、扱いが変わります。

解散事業年度:4月1日から9月30日まで

清算事業年度:10月1日から翌年の3月31日まで


なお、実際に会社を清算する場合は、弁護士や税理士などの専門家に必ず相談しましょう。

これまでにしてきた取引を無責任に終わらせてしまうと、思わぬところで損害賠償を請求される恐れがあります。従業員を雇っていた場合は、解雇することになるため、事前に話をし、理解を得るのが不可欠です。決して、自分ひとりだけで勝手な判断はしないのをおすすめします。


※参考にしたWebサイト※

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/070313/02.htm

http://contents.aokikaikei.or.jp/view.php?page=news-co


2022/08

外注費は取扱注意。税務調査で否認されないためのポイント

外注費が給与と否認されると何が起きるのか

事業を営む際には「人を雇うほどではないけど、誰かにやってほしい仕事」が発生するのは珍しくありません。たとえば「自社のWebサイトに掲載する文章を外部のライターに発注する」「電話代行サービスを使う」などは、取り入れている会社も多いでしょう。このような「外部の人に何か仕事を外注する」場合に支払う費用は、経理上外注費として処理するのが一般的です。また、外注費は課税仕入れに該当するため、消費税の算出にあたって仕入税額控除の対象にもなります。

ここで注意しなくてはいけないのが「実態は限りなく従業員への給与に近いのに、あえて外注費で処理していたケース」です。会社に税務調査が入ったら、外注費についてもくまなくチェックされます。その結果「これは給与として処理すべき」と判断される=給与と否認された場合のダメージは大きいので注意しましょう。

まず、消費税の仕入税額控除も否認されるため、過年度分の修正申告が必要になります。その際、加算税をすぐに払わなくてはいけない以上、資金繰りにも悪影響を及ぼすでしょう。

また、給与と判定された場合は認定された金額に応じて源泉所得税を納めなくてはいけません。理論上、源泉所得税を外注先に請求してもかまいませんが、快く応じてくれる外注先ばかりとは限らないでしょう。一言でまとめると「何かと面倒くさいことになる」ので、扱いには注意してください。


外注費が給与認定されないためにはどうすれば良い?

そこで、具体的に何をすれば外注費が給与と否認されないかを考えてみましょう。大切なのは「給与ではない」という根拠を用意することです。たいていの会社では、外注にあたって業務委託契約書を取り交わしているかもしれませんが、これは忘れずに行いましょう。

また、従業員が受けるような時価的な拘束を外注先に強いてはいけません。使用従属性がある=雇用主からの命令や指示に従わなくてはいけない状況になっていると判断されるためです。タイムカードをつけさせたり、残業代を払ったりするのはやめたほうが良いでしょう。

外注先に請求書を作ってもらうのも有効です。通常、従業員に給与を支払う際に、従業員に請求書を作ってもらうことはありえない以上、あきらかに「これは給料ではありません」という証明になります。加えて、外注費の支払いを従業員への給与支払日と違う日にするのも有効でしょう。たとえば、外注費の支払いは月末に、給与支払日は毎月10日にすればはっきりとした差がわかります。

実務上は、下記の内容を総合的に考慮して雇用契約か請負契約かを判断します。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━┳━━━━┓

┃                        ┃雇用契約┃請負契約┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(1)契約の内容が他人の代替を受け入れるかどうか┃YES ┃ NO ┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(2)個々の作業について指揮監督を受けるかどうか┃YES ┃ NO ┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(3)引渡しの終わっていない完成品が不可抗力によ┃YES ┃ NO ┃

┃   り滅失した場合において、その者が報酬の請求┃    ┃    ┃

┃   をすることができるかどうか(危険負担)  ┃    ┃    ┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(4)材料が提供されているかどうか(費用負担) ┃YES ┃ NO ┃

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━╋━━━━┫

┃(5)作業用具が提供されているかどうか     ┃YES ┃ NO ┃

┃   (費用負担)               ┃    ┃    ┃

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┻━━━━┻━━━━┛


2022/07

昔出した申告書を確認したい!申告書等情報取得サービスを使おう

従来から知る方法はあったものの

過去に提出した申告書を確認したいと思っても、常に控えを整理してあるとは限りません。

そのような場合、閲覧請求か開示請求を利用して確認するのが一般的な方法でした。

閲覧請求とは、納税者本人または代理人が税務署に出向き、窓口で過去に提出した申告書を閲覧させてもらうことです。メモ、写真撮影はできますが、紙面で何かをもらうことはできません。あくまで「どんなことを書いていたか」を知るための方法と考えたほうが良いでしょう。

一方、開示請求とは「保有個人情報開示請求書」を提出し、確定申告の控えを受け取る方法を指します。申告書の控えを紙でもらうことができますが、通常2週間から1カ月かかるため「すぐに手に入れたい」という場合には向いていません。

いずれにしても、税務署に自分や代理人(顧問税理士や家族など)が出向かなくてはいけないため、平日仕事をしている人にはハードルが高い方法でした。納税者にとってはあまり使い勝手がよくなかったのも事実です。


申告書等情報取得サービスでずっと便利に

しかし、新たに始まった申告書等情報取得サービスにより、確認のハードルが下がっています。

申告書等情報取得サービスとは、簡単に言うとe-Taxを経由して過去に提出した申告書のPDFファイルを取得できるサービスです。書面またはe-Taxにより提出した所得税及び復興特別所得税確定(修正)申告書、青色申告決算書、収支内訳書のPDFファイルがダウンロードできます。

申告書等情報取得サービスはパソコン、スマートフォンから利用可能です。申請からダウンロードまでの手順はe-TaxのWebサイトで確認できるので、実際にやってみると良いでしょう。

なお、対象となるのは直近3年分(令和2年以降)です。申告書等情報取得サービスの利用に当たってはマイナンバーカードが必要なので、用意しておきましょう。また、申請からPDFファイルの取得までには、数日間かかるので注意が必要です。

あくまで「自分がどんな申告書を出していたか確かめる」目的であればかなり便利になります。

一方で、直近3年分までしか対象となっていなかったり、代理人や相続人は利用できなかったりなど、従来からある制度にかなわない部分もあるでしょう。もし、過去の確定申告書を確認したいけど、自分が税務署に出向くのが難しい場合は、顧問税理士にも相談し、うまく連携するのをおすすめします。

2022/06

補助金も助成金も課税対象になるので要注意。主なケースをまとめました

トラブルの引き金になるので要注意

一定の条件に当てはまれば受け取れる補助金や助成金は、事業の後押しをしてくれる何かと重宝する制度です。しかし、実は課税対象になる補助金や助成金もあることを知っておかないと、後々修正申告が必要になるなどトラブルの原因にもなります。特に、2020年初頭から世界中でまん延した新型コロナウイルス感染症の影響で補助金や助成金を受け取っていた場合は、正しい処理が行われているかを改めて確認するようにしてください。

まず、持続化給付金など事業者を支援するための給付金制度を利用した場合、課税関係はどうなるかみてみましょう。持続化給付金、家賃支援給付金、都道府県の休業・時短要請協力金を受け取っていた場合、法人であれば法人税、個人事業主であれば所得税の課税対象になります。ただし、消費税の課税対象にはなりません。従業員の雇用維持を図るために支給される雇用調整助成金や「新しい生活様式」に対応したビジネスモデルへの転換に対する取り組みのために支給される小規模事業者持続化補助金も同じ扱いをします。

一方、補助金や助成金であっても、税法やその他の法律ではっきりと「非課税」と規定されれているものは、課税されません。たとえば、企業主導型ベビーシッター利用助成の割引券や、雇用保険の失業等給付、子育て世帯への臨時特別給付金などがこれにあたります。

計上のタイミングや仕訳についても知っておこう

課税対象となる給付金や補助金を受け取っていた場合は、確定申告をしなくてはいけません。受け取った金額を収益として計上し、確定申告を行う流れです。

たとえば、持続化給付金の場合は、一般的に「雑収入」として仕訳を行います。100万円の持続化給付金を受取、事業用口座に入金した場合は「(借方)普通預金 100万円 (貸方)雑収入 100万円」、事業用以外の口座に入金された場合は「(借方)事業主貸 100万円 (貸方)雑収入 100万円」と記帳しましょう。

また、計上するタイミングにも注意が必要です。補助金や助成金の受給が決まった場合、国や地方公共団体などの組織から、支給決定通知書が届きます。支給決定通知書が届いたタイミングで行いましょう。実際のところ、申請を行ってから採択・支給の決定、入金までかなり時間がかかるので、会計年度をまたいでしまうことも珍しくありません。会計年度をまたいでしまいそうな場合は、支給決定通知書が届いた時点で「(借方)未収入金 100万円 (貸方)雑収入 100万円」と仕訳をし、実際に入金されたタイミングで「(借方)普通預金 100万円 (貸方)未収入金 100万円」と仕訳をしましょう。

2022/05

従業員への金銭の貸付には利息を。前借りの希望に応じるのはNG

利息をつければ給与として課税されない

決められた給料でのやりくりを心がけていたとしても、イレギュラー事象が生じ、短期間で多額の金銭が必要になることは誰にだってあり得ます。従業員がそのような状況に陥った場合に金銭を用立てるために、福利厚生の一環として従業員貸付制度を導入するのも1つの手段でしょう。

しかし、従業員貸付制度を導入する際に気をつけなくてはいけないことがあります。一部の例外を除いて、従業員だからといって無利息で貸し付けるのはやめたほうが無難です。所得税法および所得税基本通達においては、会社が役員や従業員に対し金銭を貸し付ける場合の利息相当額について定めがあります。 

仮に、この定めを下回る利息(無利息も含む)で金銭を貸し付けた場合は、一部の例外を除き、定めにおける利息額と実際に支払う利息額との差額が給与として課税されるので注意しましょう。

なお「一部の例外」とは、具体的には以下の3つのケースを指します。

災害や病気が原因でまとまったお金が必要になったので、合理的な範囲で貸し付けを行う

借入金の平均調達金利など合理的な利率を決め、その範囲で貸し付けをする

定めにおける利息額と実際に支払う利息額との差額が年間5,000円以下だった

「前借りさせてください」に応じるのはNG

従業員が金銭に困り、会社に「給料の前借りをさせてください」と言ってくることがあるかもしれません。しかし、これには絶対に応じないようにしましょう。労働基準法では、出産・結婚・病気・災害などの理由で緊急にお金が必要になった場合、給料日前でも給料を払うよう定めています。 しかし、これはあくまで「既に働いた部分についての給料を、給料日より前に支払う」という意味です。

前借りだと「まだ働いていない部分についての給料を借りて、後々働いて返済していく」という意味になります。つまり、従業員が後々「やっぱりこの会社辞めたい、でも給料を前借りしているから辞められない」という状態に陥ることもあるのです。これは、労働基準法第5条において禁止されている強制労働に当たる可能性があります。いずれにしても、会社と従業員との間で、深刻なトラブルに発展するおそれがあるので、注意しましょう。

そのため、仮に従業員から「給料の前借りをさせてください」という申し出があったら、まずはどういう理由でお金が必要なのかを聞きましょう。出産・結婚・病気・災害など合理的と認められる理由であったら、既に働いた分の給料を前払いする形で対応するのが無難です。また、それでも足りない可能性がある場合は、従業員貸付制度を通じて借入をするよう促しましょう。

なお、従業員貸付制度を導入する際は、就業規則の一部として社内貸付規定を作成し、労働基準法に定められた手続きを経なくてはいけません。抜け・漏れがないようにするためには、社会保険労務士などの専門家に相談しながら進めましょう。


2022/04

後だしNG!簿外経費は損金不算入になる可能性大

後から「実はこれだけかかっていて」と言ってもアウト

税務調査においては、調査官から帳簿など必要な書類を見せるようもとめられた場合は、指示通りに出さなくてはいけません。「守秘義務があるから」と見せるのを拒んだり、いわゆる裏帳簿など虚偽の内容の書類を見せたりした場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます(国税通則法第128条)。しかし「わざと見せなかったわけではなく、単に記録が追い付いていなかった場合」はどうなるのでしょうか。

例えば、社内に経理担当者が1人しかいなかったり、事業主が自ら経理処理をしたりしているなどの事情があり、本来は帳簿に記録すべき経費があったとしても、記録が追いついていないケースを考えるとわかりやすいでしょう。この場合、本来であれば他の書類も調査し、実際に経費が生じたのかを調査するのがしかるべき対応なのかもしれません。しかし、仮想隠蔽や無申告など、既に重いペナルティを与えるべき事態にまで綿密に調査を進めるのは、時間や費用の面から見て現実的ではないでしょう。

このような背景もあり、令和4年度税制改正においては、簿外経費の扱いについて一定のルールが設けられました。詳しくは後述しますが、税務調査に至った段階で「実は帳簿に記録していない部分でこれだけ経費がかかっていて」と主張しても認められないということです。

仮装隠蔽又は無申告に係る簿外経費の必要経費・損金不算入とは

簡単にまとめると、仮想隠蔽が疑われたり、無申告だったりした年分(事業年度)において、納税者が確定申告書に記載しなかった費用があったとしても、以下のいずれかにあてはまらない限りは、必要費用として認められない(損金不算入)ということです。

保存する帳簿書類等により明らかに経費がかかったことがわかる

保存する帳簿書類等により取引の相手先や発生した事実が明らかで、反面調査を行って証拠も入手できた

この規定は、個人については2023(令和5)年分以降の所得税について、法人については2023(令和5)年1月1日以降に開始する事業年度から適用されます。そもそも、仮想隠蔽や無申告の場合、無申告加算税や過少申告加算税などのペナルティの対象となるため、注意しましょう。また、発生した取引についてはもれなく記録し、適切なタイミングで記帳するのをおすすめします。あくまで、今回盛り込まれた規定は仮想隠蔽や無申告など、明らかに不適切なケースを想定したものです。しかし、適切に申告をしている場合でも、記帳がない場合、税務調査において調査官から追及される可能性が高くなります。「これはどう扱えば良いのかわからない」という場合は、適宜税理士に相談し、対応を進めましょう。


2022/03

新型コロナによる申告期限の個別延長。より簡便な方法も利用可能に


わりと幅広い状況で個別延長は認められる

2020年1月に新型コロナウイルス感染症の発生が報道されてから2年以上経過しました。

ワクチンの接種、治療薬の承認など明るい話題もありますが、変異株の出現による大規模な学級閉鎖などまだまだ頭の痛い状況は続きそうです。

このような状況下において、国税庁は公式Webサイトの「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を更新しました。

簡単にまとめると「やむを得ない理由がある場合は、申告期限を個別に延長することができる」というものです。

まず、やむを得ない理由として「感染症にかかった」「発熱しているなど、感染した疑いがある」「濃厚接触者になった」「基礎疾患があるため重症化リスクが高い」などが挙げられています。

また、顧問税理士や経理責任者が感染者・濃厚接触者になった場合や、学校・保育園が休校になり経理担当者が業務を進められない場合も「やむを得ない理由」に含まれるのです。

これらの理由により、申告書・決算書類など必要な書類の作成が遅れ、期限通りに申告・納付を行うことができない場合は、期限の個別延長が認められます。


個別延長を認めてもらうには?                                                                                                                

申告期限の個別延長を認めてもらう方法ですが、所轄税務署長に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出し、その承認を受けるのが原則です。

承認を受けられれば、その理由が止んだ日(例:濃厚接触者として認定されたものの、自宅待機期間が終了した)から2ヵ月以内の範囲で個別指定による期限延長が認められます。

ただし、申告所得税、贈与税、個人事業者の消費税の確定申告については扱いが異なります。

2022年3月15日(消費税は同年3月31日)の期限までに申告が困難な場合、同年4月15日までの間であれば、申告書の余白(e-Taxの場合は所定欄への入力)に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と付記すれば足りるのです。

ただし、4月16日以降に申告期限の個別延長の手続きをする場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出する方法によります。

なお、法人税・相続税といったその他の税目についても、申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載すれば、期限を延長することが可能です。

e-Taxを用いる場合は、「電子申告及び申請・届け出名」欄又は「添付書類名」欄に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力し、e-Tax申告書と同時送信しましょう。

2022/02

従業員に給料を上げると節税になる!?賃上げ促進税制とは?

先進国でも各段に年収が低い日本

日本は、世界でもトップクラスの先進国です。しかし、最近は勢いに陰りが出ていると言われています。そのことが表れている指標の1つが、平均年収です。OECD(経済協力開発機構)がまとめた世界各国の平均賃金の統計によれば、日本の平均月収は38,515ドルとのことでした。国税庁が発表している「令和2年分民間給与実態統計調査」によれば、平均給与が433万円だったので、そう変わりがありません。

・世界各国の平均賃金 

参考URL  https://www.oecd.org/tokyo/statistics/average-wages-japanese-version.htm

・令和2年分民間給与実態統計調査

参考URL https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf


問題はここからです。実はこの年収は、先進国の中でも各段に低いと言われています。アメリカの平均月収が69,392ドルとずば抜けているのは何となくわかるでしょう。しかし、日本よりも月収が低いイメージがかつてはあった韓国の平均月収は41,515ドルに達しています。今後、平均月収がどうなっていくのかは誰にもわかりませんが、日本がこのまま平均月収・年収の低い国になっていく可能性もゼロではありません

賃上げ促進税制とは


もちろん、日本政府もこの事実を黙って見過ごしているわけではありません。あの手この手で賃金を上げようと努力はしています。その一環として設けられたのが「賃上げ促進税制」です。簡単に言うと、青色申告書を提出する全企業(大企業・中小企業・個人事業主)に対し、一定の条件を満たすと最大で40%の税額控除が受けられます。中小企業の場合の条件をみてみましょう。


賃上げ促進税制

参考URL:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai/pamphlet.pdf


まず、雇用者全体の給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加した場合は、15%の税額控除が受けられます。さらに、2.5%以上増加した場合は、税額控除の率が30%にまで上がります。これらの条件を満たしたうえで、教育訓練費が前年度比で10%以上増加した場合は、さらに10%の税額控除が受けられるのです。


なお、これらの賃上げ促進税制は、青色申告書を提出する中小企業・個人事業主であれば利用できます。適用期間は令和4(2022)年4月1日から令和6(2024)年3月31日までの間に開始する各事業年度です。個人事業主の場合は、令和5(2023)年および令和6(2024)年の各年が対象となります。  

条件に沿って賃上げをし、従業員に対する教育を行うことで税制情の優遇が受けられるWin-Winの施策なので、税理士とも連携し、早めに準備を進めると良いでしょう。


2022/01

電子帳簿保存法が改正!変更のポイントを押さえよう

2022年1月1日から義務化が開始する予定であった電子取引に関わる電子データの保存義務について、2年(令和5(2023)年12月31日まで)の猶予期間が設けられることが示されました。

*以下の情報は2021年11月末までの情報になります。

なぜ、いま改正されることになったのか?

電子帳簿保存法とは、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号)」と言います。平たくいうと「電子計算機=パソコンを使って作る国税関係帳簿書類について、紙ベースだけでなく、電子化=データ化して保存することを認める」法律です。

この法律自体は平成10(1998)年からありましたが、IT技術の発展とともに、実情にあった法改正が行われてきました。2022年の電子帳簿保存法では「経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上・記録水準の向上」が1つの目的に掲げられています。

2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の流行でリモートワークが広がったり、官民挙げてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したりと、日本でも着実にデジタル化は進行しているのが実情です。2022年の電子帳簿保存法の改正も、この動きに鑑みたものである側面を有しているでしょう。

*2022年1月1日から義務化が開始する予定であった電子取引に関わる電子データの保存義務について、2年(令和5(2023)年12月31日まで)の猶予期間が設けられることが示されました。

大きな変更点は5つ

具体的に、どんな点が変更されたのかみてみましょう。大きなポイントとなるのは、以下の5つです。

1つ目は「事前承認制度の廃止」です。これまでは、国税関係帳簿・書類については、電子データやスキャナで読み込んだ画像データで保存したい場合、原則として3ヶ月前までに所管の税務署長に申請し、承認を受けなくてはいけませんでした。しかし、改正法が施行されたあとは、この手続きがいりません。

2つ目は「システム要件緩和と優良保存認定制度の新設」です。改正法の施行後は「システム関連書類等(概要書、仕様書、操作説明書、事務処理マニュアルなど)の備え付け」「パソコン、プログラム、ディスプレイの操作マニュアルがすぐに出力できるようにすること」「税務職員による質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じられること」の3つを満たせば、電子データでの保存ができるようになります。

3つ目は「検索項目の簡素化」です。改正法の施行後は、国税関係帳簿・書類の電子データ、画像データにおける検索項目が「日付」「取引金額」「取引先」のみになります。

4つ目は「適正事務処理要件の廃止」です。これまでは、不正防止の観点から社内規程の整備」や「相互けん制」「定期的な検査」といった適正事務処理要件が定められていました。つまり、紙の書類をスキャンしてデータ化しても、原本となる紙の書類は残しておかないといけなかったのです。しかし、施行後はこの手続きが不要になります。

5つ目は「スキャナ保存のタイムスタンプ要件緩和」です。これまでは「受領者が自署」した上で「3営業日以内にタイムスタンプ付与」が条件でした。しかし、今後は「自署不要」「最長約2ヶ月と概ね7営業日以内にタイムスタンプ付与」が条件となります。また、「データの修正や削除の履歴が残る、または修正や削除ができない」「入力期限内にデータを保存したことが確認できる」仕様のクラウドサービスを利用しているなら、タイムスタンプもいりません。

2021/12

2023年10月からインボイス制度が導入へ。制度の基本と済ますべき対応を解説します

インボイス制度とは

2019年10月から消費税率が10%(食料品など、軽減税率適用の場合は8%)に引き上げられました。その変更と同様に調整が進められてきたのが、インボイス制度です。正確には「適格請求書保存方式」と言いますが、インボイス制度が広く通商として使われています。

一言でまとめると「一定の条件を満たした請求書を使って消費税を計算し、納付する制度」といったところでしょうか。

そもそも、なぜこのような制度を導入することになったのか、背景を説明しましょう。先ほど触れたように、現在、消費税は原則として10%ですが、8%の軽減税率が適用されることもあります。そして、モノ・サービスを売る際には「この商品に適用されている税率は〇%です」と伝えなくてはいけません。伝えると言っても、口頭ではなく、紙やデータで残すところまでやらないと、消費税の正確な額なんてわかりません。

結果として「購入したモノ・サービス対して適用された消費税率・消費税額を請求書に明記する」ことを求める制度として、インボイス制度が導入されることに相成りました。

インボイス制度は消費税を計算し、納付する必要がある事業者=消費税の課税事業者を前提とした制度です。最低限、自分が営んでいる会社がこの要件に合致しているかは確認しましょう。1つの基準として「1年間の課税売上高が1,000万円以上」であるかがポイントとなります。


対応が遅れると案外怖いことが起こります   

そして、消費税の課税事業者であれば、インボイス制度による「適格請求書発行事業者」として登録を済ます必要がでてきます。細かい部分は省きますが、従来の「発行者の氏名・名称」「取引年月日」「取引内容」「受領者の氏名・名称」「軽減税率の対象である旨の表記」「適用税率ごとに区分した合計額」に加え、「インボイス制度の登録番号」「適用税率」「適用税率ごとの消費税額の合計」の3つの項目を新たに加えた請求書を発行しないといけません。

面倒臭い、といってこの対応を怠ると、何が起きるのかについても押さえておきましょう。

知っている人も多いかもしれませんが、消費税は「預かった消費税から支払った消費税を引いて(仕入税額控除)、その差額を国に納める」のが基本です。 しかし、インボイス制度を導入すると、「適格請求書を発行できる事業者から請求書を受け取れること」が、仕入税額控除を受けるための条件となります。

モノ・サービスを仕入れる側からすると、仕入税額控除を使えないというのは大きなダメージになるため、自然と「だったら、適格請求書をちゃんと発行してくれる会社と取引しよう」という心理になってもおかしくありません。自分の会社が「選んでもらえる会社」になるよう、税理士などの専門家と連携し、早めに対応を進めましょう。



2021/11

若手クリエイターの作品で節税ができる!美術品等の減価償却のルールを知っておこう

さすがに123億はキビシイものの

当時TBS記者だった秋山豊寛氏以来、2人目の民間人宇宙飛行士として宇宙に行くことが決まった実業家の前澤友作氏。実は彼は、絵画を中心とした芸術作品の収集家としても知られています。2017年には、アメリカの大手オークション業者・サザビーズがニューヨークで行ったオークションで、アメリカ人画家のジャン=ミシェル・バスキアの絵画を約123億円で落札しました。

もちろん、ここまで大がかりな投資を美術品にするのはなかなか厳しいかもしれません。

しかし「オフィスに置く調度品は自分の好きなものを選びたい」「実は美術品に興味がある」という人は、上手に美術品を購入することで、節税ができることも知っておきましょう。

実は、平成27年に法人税上における美術品等の扱いが変更になり、1点の取得価額100万円未満の美術品等であれば、減価償却資産として扱うことができるようになりました。結果として節税につながるわけです

1点ごとの金額により扱いが違うので注意を

そこで、具体的にどのようなルールで減価償却が行われるのかについて解説しましょう。まず、取得価額10万円未満の場合は、いわゆる「少額の減価償却資産」として扱われます。

つまり、事業の用に供した事情年度において、その取得価額の全額を損金の額に算入できるのです。「事業の用に供した」とありますが、購入して、オフィスに飾った年と考えましょう。

次に、取得価額が10万円以上20万円未満の美術品等の取得をした場合は、3年間で取得価額を全額損金に算入することができます。また、取得価額が30万円未満の美術品等であれば「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」に従って経理処理することが可能です。

また、100万円未満で器具及び備品に相当する美術品等であって、金属製のものであれば耐用年数15年で減価償却が可能です。一方、金属製以外のものは、耐用年数8年として減価償却することになります。

いずれにしても、美術品等を用いて節税をする場合は、1点ごとの金額を正確に把握することが大事です。いわゆる「若手クリエイター」の作品であれば、比較的安く手に入れられる上に、掘り出し物が見つかるかもしれないので、興味がある方は検討し、節税にも上手に活用しましょう。

2021/10     

オフィスを引っ越すなら「地域未来投資促進税制」は要検討。概要と利用条件を簡単に解説します

コロナ禍で地方移転もアリになりました

2020年初頭から日本を含めた世界中を混乱に巻き込んだ新型コロナウイルス感染症も、全国民の半分がワクチンの2回目接種を終えたり、自宅療養中でも治療が受けられる体制が整ってきたりなど、着実に一歩一歩良い方向に進んでいます。しかし、企業にとっては「外出がままならないほどの災害が起きても、できるだけ通常業務を止めずに対応できる体制を作り上げること」が重大な経営課題として残りました。

もちろん、企業の業種や規模、経営者の考え方によって異なるので一概には言えませんが「テレワークを本格導入する」「首都圏にあった本社機能の全部・一部を地方に移転する」など、様々な方策が考えられます。後者の具体例として、通信販売大手「ジャパネットたかた」で知られるジャパネットホールディングスが、主要機能を福岡市に移転するなどの取り組みを行っています。

企業にとっては、首都圏に本社機能を集中させないことで、感染症の拡大などの災害が首都圏で起きたとしても、通常通り業務を進めることができます。また、移転先となる自体にとっても、税収が確保できる上に、雇用の創出にも役立つため「どちらにとっても良い話」かもしれません。

地域未来投資促進税制とは

国は、地域の特性を生かして、高い付加価値を創出し、地域経済を牽引する事業への積極的な投資を推進することを目的に「地域未来投資促進税制」を設けています。

簡単に言うと、条件を満たした上で地方に拠点を移したり、新しい事業所・工場などを経てて人を雇ったりなどすれば、機械装置や器具備品、建物・建物附属設備および構築物について特別償却(最大50%)、税額控除(最大5%)が受けられる税制です。なお、令和5(2024)年3月31日までに事業の用に供した資産について適用が可能となるため、これから地方へのオフィスの移転を考えている場合でも、早めに動けば十分に間に合います。
なお、実際にこの税制を使うためには、最初に都道府県知事による地域経済牽引事業計画の承認を受けなくてはいけません。つまり、基本計画が「地域特性の活用」「高い付加価値の創出」「地域の事業者に対する経済的効果」の3つを満たしているかが問われます。

また、これをクリアしたら、次は国による課税特例の確認を受けなくてはいけません。「先進性を有する」「総投資額が2,000万円以上である」「前事業年度の減価償却費の10%以上の投資額である」「対象事業の売上高伸び率がゼロ超、かつ、過去5事業年度の対象事業に係る市場規模の伸び率が+5%以上である」の4つの条件を満たしているかがチェックされます。

「機械装置、器具備品、建物、建物付属設備および構築物で、その取得価額の合計が2,000万円以上のもの」に対してこの制度使える上に、限度額が80億円までとかなり大きいため「オフィス機能を地方に移転する」ときには積極的に活用したい制度です。早めに税理士に相談しておきましょう。
     

2021/09

役員賞与ゼロでも税務上の処理は原則必要。早めに返上を決断するならやるべきことは?

長引くコロナ禍の影響はこんなところにも

2020年初頭から流行し始めた新型コロナウイルス感染症により、小売業・飲食業を中心に、多くの企業が大幅な減収・減益に見舞われています。特に、飲食業は東京都・大阪府などの大都市において度重なる緊急事態宣言・まん延防止等重点措置による営業時間の短縮、酒類提供の自粛を求められていることから、深刻なダメージを受けているのが現状です。なお、民間調査会社・帝国データバンクがまとめたところによれば、2020年の飲食店の倒産件数は780件にも上りました。同社によれば、これは調査を開始して以来過去最多の水準とのことです。

参照:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210101.pdf

そして、倒産という事態にまでは至っていないものの、様々な策を講じて、事業の継続に奔走している事業主はたくさんいるでしょう。「自分のことは良いので、頑張ってくれているスタッフに給料を払わないと」という気持ちで、役員賞与の返上を考える事業主もいるはずです。確かに、従業員にとっては「うちの社長、ありがたいな」と思ってもらえるかもしれませんが、税務上は慎重な対応が必要なので注意してください。

会計上の影響はゼロでも税務上の影響が生じる

本来、役員賞与に関しては、事前確定届出給与として税務署に届出を行うことで、損金算入が可能となる仕組みです。つまり、株主総会で決議を行った上で議事録を作成し、期限までに所定の事項を記載した届出書を提出た上で、届出書に記載された時期と金額が完全に一致した形で役員賞与が支払われれば、損金として認められます。

このため、新型コロナウイルス感染症の影響で「役員賞与は返上します」という話になった場合は、損金算入するための前提が狂ってしまうのです。会計上は「役員賞与は出さなかった=金銭も動かなかった」ので特段仕訳をする必要はありませんが、税務上は仕訳をしておかないとNGなので注意しましょう。

わかりやすい例えとして「株主総会で決議された役員賞与支給額を200万円としていたものの、業績の悪化が見込まれるために支給自体を取りやめた」場合、「(借方)役員賞与 200万円 (貸方)未払金 200万円」「(借方)未払金 200万円 (貸方)債務免除益 200万円」という仕訳が必要になります。

ただし、これらの処理を行わなくてはいけないのは「支給日の後に支給を取りやめた(返上することにした)」ケースです。仮に、支給日が到来するまえに、取締役会等で全額不支給の決議を行い、返上することを決めていた場合は、税務上の処理も必要なくなります。

なお、事前確定届出給与については「やむを得ない事情」に該当すれば、業績悪化改定事由・臨時改定事由があったものとして、ゼロにすることを含めた減額が認められる可能性が高いです。新型コロナウイルス感染症を理由とした経営状態の悪化も「やむを得ない事情」に該当する可能性が高いので、一度税理士と相談し、どう進めていくかをすり合わせておきましょう。
     

2021/08

これからの経営は効率化と生産性向上がカギに。DX投資促進税制を上手に使おう

DX化と言ってもお金がかかります

最近、注目されている言葉の1つに「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」があります。本来は、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念を指す言葉です。しかし、会社経営との関連においては「ITを活用して、業務の効率化や生産性の向上を図ること」という意味合いで使われることが多いようです。

2020年初頭から世界中で流行している新型コロナウイルス感染症の影響や、いわゆる「働き方改革」の流れもあり、DXに注目する企業は多くなっています。しかし、何をやるかにもよりますが、ある程度はまとまった金額の投資が必要になるのが実情です。安い買い物とは言い難いために「いかにして、会社としての出費を抑えつつ、期待する効果が上がる設備を導入するか」がカギになります。

やはり、本気で取り組もうと思ったら、専門のコンサルティング会社に相談し「自分たちのビジネスにおいて、業務の効率化・生産性の向上を達成するためには、何をすれば良いのか」を洗い出すことが必要です。

DX投資促進税制をうまく使おう

また、本気で取り組むなら「使える補助金や制度はないか」にも目を向けましょう。DX化を検討中ならDX投資促進税制も役に立つはずです。簡単に言うと「一定の条件を満たす対象設備を導入した場合は、税額控除(3%または5%)ないし特別償却(30%)を講じることができる」という税金上の優遇政策です。

令和3年税制改正において、クラウド技術の活用、セキュリティの強化、レガシーシステムからの脱却などを目的として定められました。なお、適用期限は2023年3月31日までとされています。なお、投資額の下限は売上高比の0.1%以上、上限は300億円です。また「カーボンニュートラル投資促進税制」も併用する場合、税額控除の上限が当期法人税額の20%までになるので注意してください。

また、この税制を使える投資になるかどうかの要件(認定要件)には、大きく分けて「デジタル(D)要件」と「企業変革(X)要件」があります。前者をさらに細分化すると、1)データ連携・共有、2)クラウド技術の活用、3)「DX認定」の取得の3つが求められると考えましょう。一方、後者は、1)会社の意思決定に基づく、2)一定以上の生産性向上などが見込まれるという2つの要件を満たすこと、と考えるとわかりやすいはずです。

なお、実際にこの税制の適用を受けるためには、産業競争力強化法に基づいた「事業適応計画」を主務大臣に提出し、その内容が認定要件を満たしているかの審査を受けないといけません。コンサルティング会社に相談することはもちろん、早いうちから税理士とも連携を取り「いつ、何をすれば良いか」を考えて動きましょう。
           

 2021/07

従業員のために使う新型コロナ対策の費用。所得税の課税関係は?

新型コロナから従業員を守ろう

2020年初頭から新型コロナウイルス感染症が日本を含めた世界中で大流行しています。
当然、企業活動にも大きな影響を及ぼしているのが実情です。その中で、会社を経営していくことの厳しさを痛感している事業主の人も多いでしょう。

さて、事業主には「安全配慮義務」が課せられています。簡単に言うと「従業員が病気やケガをしないため、快適な職場環境を保てるよう、最大限の努力をすること」です。今回の新型コロナウイルス感染症の場合は「在宅勤務を導入する」「マスク、消毒薬など感染対策グッズを支給する」「定期的にPCR検査を受けさせる」なども、この安全配慮義務の中に含まれます。

実際のところ「外出もほとんどせず、うがい手洗いなどの対策をぬかりなくしていたのに、新型コロナウイルスに感染した」という人も一定数いる以上「何をすれば大丈夫なのか」は断言できません。それでも、できる対策を講じるのは必要です。ある意味、従業員と会社を守るための必要経費ともいえる以上、所得税の課税関係=従業員にとっての給料に当たるのかどうか、については正確に理解しておきましょう。

ポイントは「業務のために通常必要かどうか」

考え方は非常にシンプルです。「業務のために通常必要かどうか」つまり、仕事をしていく上で欠かせない費用であるかどうかがポイントになります。

例えば「仕事中に着用するマスク、アルコール消毒液」「職場でクラスターが発生したため隔離場所として会社で予約したホテル」「従業員および顧客の安全を確保するために、会社で定期的に受けさせているPCR検査の費用」は、会社で仕事をするために必要な費用(経費)にあたるため、従業員に対する給与としては扱われません。この場合、会社側は消耗品費、旅費交通費、福利厚生費などとして、損金の額に算入できます。

しかし、これらが「従業員の自己判断に基づいて行った、使った」ものであって、会社が代わりに支払っていたという場合は、給与として所得税課税の対象となります。従業員に対して現物給付を行ったことになるためです。もちろん、この場合、会社側は給与として損金の額に算入することになります。

なお、国税庁のWebページには「5 新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」という形で、新型コロナウイルス感染症の様々なシチュエーションを想定した税務上の扱いについて解説するコーナーが設けられています。随時、様々な情報が追加されているので、こまめにチェックしておきましょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm

          

2021/06     

カーボンニュートラルのためにできることを。投資促進税制も上手に使おう

カーボンニュートラルとは

2020年10月に、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする=カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを明確に宣言しました。実は、カーボンニュートラルを目指す取り組み自体は、世界各国で既に始まっています。例えば、2020年のアメリカ大統領選で勝利したバイデン大統領は、選挙の際にEV普及、建築のグリーン化、エネルギー技術開発等の脱炭素分野に約200兆円(2兆$)の投資を行うこと・既に公約していたのです。

参照:経済産業省「省エネ関連設備が活用可能な税制措置」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/information/180323a/pdf/003.pdf

もちろん、日本でも環境省が中心となり、脱炭素ライフスタイルへの転換、RE100(企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ)への取り組み、地方公共団体へのゼロカーボンシティ実現への支援など、様々な取り組みをすでに行っています。

しかし、より取り組みを本格化させるには、企業による努力も不可欠です。

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設

企業によるカーボンニュートラルへの取り組みを加速させるため、令和3年度税制改正において、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設が創設されました。簡単に言うと「脱炭素化を加速する製品を生産する設備を導入するなど、具体的な取り組みを行えば、税額控除が受けられる(結果として、税金が安くなる)」ということです。

実際にこの税制の恩恵を受けるには1)事業適応計画を策定するし、認定を受けること、2)何に対してどれだけ税額控除・特別償却ができるのかを理解すること、の2点が不可欠です。

まず、1)についてですが、脱炭素化を加速する製品を生産する設備(需要開拓商品生産設備)もしくは生産プロセスを大幅に省エネ化・脱炭素化するための最新の設備(生産工程効率化等設備)を導入することが前提となります。

また、2)についてですが、需要開拓商品生産設備の一環として機械装置を導入した場合、10%の税額控除と50%の特別償却が受けられます。一方、生産工程効率化等設備の一環として施策を講じる場合は、機械装置・器具備品・建物附属設備・構築物なども対象となる上に、5%(一定の条件に当てはまれば10%)の税額控除と50%の特別償却が受けられます。

実際にカーボンニュートラルに向けた投資を行う際は、かなり大がかりな機械装置・建物付属設備の導入が前提となるため、専門のメーカーやコンサルティング会社に相談することになるでしょう。税理士とも協議し「何をどうするのが自分の会社にとっては一番良いのか」を話し合った上で、利用を検討するのをおすすめします。
     

2021/05

コロナ渦で見直しを迫られた事業主必見!中小企業等事業再構築促進事業とは?

変えた方がいいのは分かるけど、先立つものがない!

日本で最初に新型コロナウイルス感染症の報道がなされてから1年以上たちますが、事態は一進一退を繰り返しています。ワクチン接種開始など、良い方向に向かう兆しは見えてきたものの、変異種が発見されるなど、ネガティブな材料もまだまだ多いのが現状です。

医学的な話をここでするのは避けますが、やはり経済への深刻なダメージが発生していることは、重大な懸念事項でしょう。資金力が潤沢にある大企業も、大幅な方針の転換を迫られていますが、そうでない中小企業にとっては「事業を続けるか、たたんでしまうか」の二択を迫られつつあります。

もちろん、思い入れがある事業なら、簡単に廃業したくないのが人情です。そこで

 飲食業なら、テイクアウト販売やオンライン出前サービスへの加盟を行う
 タクシー事業なら、一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、料理の宅配サービスや買い物代行サービスを始める
 サービス業(例:ヨガ・ダンス教室)なら、オンラインレッスンを開始する

など、あの手この手で事業の見直しを図られています。しかし「うまくシフトできればいいけど、先立つものがなくて…」など、資金難を理由に見直し計画の実行に着手できない事業主もいるのが実情です。

このような実情を反映し、経済産業省は新たな施策として「中小企業等事業再構築促進事業
を打ち出しました。

中小企業等事業再構築促進事業とは?

中小企業等事業再構築促進事業とは、簡単に言うと、新型コロナウイルス感染症の影響によって

1. 売上が大幅に減っている
2. 事業再構築に取り組む
3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

の3つの条件を満たす事業者に対し、最大で1億円(事業計画の実行に必要な予算や企業規模、その他の条件により異なる)を補助します。既に、第1回目の公募が3月26日から(応募締切は4月30日)から始まっていますが、令和3(2021)年度内に複数回実施する予定です。仮に、第1回目の締切に間に合わなくても、応募するチャンスは複数回あるので、自分の事業所が対象になるなら、ぜひ申請してみましょう。

なお、この制度の対象となるのは中小企業および中堅企業です。中小企業とは、中小企業基本法と同じく、資本金または従業員数が一定の基準以下(業種により異なります)の会社および個人を指します。また、中堅企業とは、中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金が10億円未満の会社を指します。「もしかしたら、自分の会社でも使えるかも?」と思ったなら、認定経営革新等支援機関として登録されている専門家(税理士など)に一度相談してみましょう。


参照:https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0331
     

2021/04

2021年4月1日から税抜表示はNGへ。乗り遅れた人向けの対応リスト

2021年3月31日まではOKだったものの

消費税増税が行われる度に、レジの設定変更、値札の貼り換え作業や各表示の変更など、様々な対応に苦慮してきた事業主の方は多いはずです。「消費税が増税になった時の作業を少しでも減らしたい!」と、今まで自分の事業所で扱う商品・サービスの値段を「10,000円(税抜)」と表示してきた人も少なくないでしょう。これだと、消費税率が変わっても、少なくともこの表示は変更する必要がないためです。

そして、2021年3月31日までは、このような税抜表示も、誤認防止措置を講じた上で利用することができましたが、2021年4月1日からは認められなくなっています。
なお、2021年4月1日を過ぎた時点で税抜表示をしていたからといって、罰則が科せられるわけではありません。

ただし、消費者が勘違いを起こすような価格表示を意図的にしていたと判断された場合は「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」に違反する恐れもでてくるので、早急に対応するに越したことはないでしょう。

乗り遅れた人向けの対応リスト

「まずいな、うち何も対応していないや」という事業者の人には、この機会に何をするべきかを洗い出してほしいところです。

行うべき対応を3つに分けると1)対象となる商品・サービス、2)消費者の利便性を保つためのポイント、3)具体的な表記の仕方、の3つを理解することが挙げられます。

まず、1)についてですが、一言でまとめると「不特定多数の消費者に向けた価格表示」ということになります。
例えば、

・ 商品に貼付する値札
・ 商品パッケージなどへの印字
・ 商品陳列棚
・ 店頭のチラシ
・ ポスター
・ 商品カタログ
・ ダイレクトメールなどにより配布するチラシ
・ インターネットの販売ページ
・ 電子メールなどの媒体を利用した広告
・ テレビ・新聞の広告 

が該当します。なお、見積書・請求書・契約書・事業間取引における商品カタログなどは、不特定多数の消費者に向けたものではないため、対象とはなりません。

2)についてですが「消費者がはっきりと認識できるようにする」ことが大事です。たとえば

・ 店内のわかりやすいところにアナウンスを掲示する
・ 値札の文字をある程度は大きくする
・ POPを活用する

などが考えられます。

また、3)についてですが「支払総額となる税込価格がわかること」が最低条件です。
そのため、税抜で10,000円の商品・サービスであれば「11,000円」で構いません。
より親切に、ということであれば「10,000円(税込11,000円) 」「11,000円(税込)」などを使うといいでしょう。
     

2021/03

フリマアプリで得た利益は確定申告が必要なことも。注意点を解説

生活用物品の処分かどうかがカギ

新型コロナウイルス感染症が流行したことで、在宅している時間をどうやって過ごすかが話題となりました。家にいる時間が必然的に長くなる以上、片付けに取り組み「自分ではもう使わないけど、捨てるのは忍びない」ものを、フリマアプリで売ってみた人もいたはずです。
そして、沢山売ればそれなりに売上が入るので「もしかしたら税金を払わなくてはいけないのでは?」と気になった人もいたでしょう。

所得税法では、譲渡所得の対象とならない資産について規定がなされています。
生活用動産の譲渡による所得もその1つです。生活用動産とは「家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産」と規定されています。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm

つまり、フリマアプリでよく取引されている

 子どもが小さいときに使ったおもちゃ
 着なくなったけど状態のいい服
 使わなくなったけどまだ座れそうなソファ

など「これまでの生活で使っていたものを処分する取引」によって得た収益は、所得税の課税されない譲渡所得にあたるため、確定申告をする必要もないのです。

判断に迷う場合は税理士に相談を

しかし、家の中にあるのは生活用動産だけではありません。

今では手に入らないような昔のレコードや、芸能人のファンクラブ限定品など「今の自分にとっては不要だし、生活に必要ではないけど、欲しい人にとってはお金を払ってでも欲しいもの」も存在します。
また、現状は厳しいかもしれませんが、海外で衝動買いしたブランド品を、「自分は使わないけど、状態がいいから」と売ってしまうことだってあるはずです。

このような「生活に通常必要でない動産の譲渡」をフリマアプリを通じて行った場合は、所得税が課税されます。

本来、所得税は所得(=売上ー費用)に対して課税されますが、この金額が年間38万円超(会社勤めをして給料をもらっているなら20万円超)なら、確定申告をして納税しなくてはいけません。フリマアプリの場合、売上の合計から購入者への送料などの経費を差し引いた金額を目安として考えるといいでしょう。

なお、国税庁の調査によれば2019年7月から2020年6月末までの1年間で、フリマ等の通販サイトで起きた所得の申告漏れ額は6億3,030万円 、追徴税額は7,797万円にものぼりました。

参考:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2102/19/news045.html
 
本来は非課税であるものを課税であると誤解するならともかく、逆のパターンはかなり厄介です。判断に迷う場合は、自分だけで考えず、税理士に相談して、対応を仰ぎましょう。

2021/02

テレワークの諸費用は条件を満たせば非課税に。重要ポイントを解説

テレワークは通信費、電気代がかさむ

大手人材紹介会社・パーソル傘下のシンクタンク、パーソル総合研究所が行った調査によれば、2020年11月時点での日本全国における正社員のテレワーク実施率は24.7%とのことでした。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000455.000016451.html

一見、低い数字のように思えますが、従業員が1万人以上の企業では実施率は45.0%にも達しています。一方、100人未満の場合は13.1%に過ぎません。つまり、企業規模によっても足並みが異なる、というのが実情のようです。

そして、テレワークを行うことで、これまでには考えられなかった問題が浮上してきました。それは「自宅の通信費、電気代がかさむ」ということです。オフィスに出勤して仕事をしている場合は、オフィスに設置されているパソコンを使って仕事をするのが基本なので、通信費や電気代を従業員が自ら負担することはまずありえません。

しかし、テレワークになると、自宅に会社支給のパソコンを持ち帰り、自宅のインターネット回線を使って仕事するのが前提になります。つまり、通信費や電気代は自分で負担することになるため、家計にも少なからず影響が及ぶはずです。また、自宅に自分の部屋がないため、状況に応じてシェアオフィスに行き仕事をする羽目になる社員も一定数います。

このような実情を鑑み、在宅勤務手当などの名目で電気代、通信費の一部を支給する会社も出てきました。しかし、今までテレワークを採用している企業自体が少なかったためか、税務上の取扱いが整備されていなかったのも事実です。

在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)のポイントは?

国税庁は、テレワークにかかる費用の税務上の扱いをまとめ、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」として発表しました。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

ここでは、主要なポイントにのみ絞って解説しましょう。

まず、在宅勤務手当の扱いについてですが「毎月1万円を在宅勤務手当として支給する」など、一定額を渡しきることが前提で運用されている場合は、従業員に対する給与として課税しなくてはいけません。

一方「通信費、電気代、シェアオフィスの利用代金など、テレワークで発生する費用について、業務に使った分を計算して精算する」など、実費相当額を生産することを前提に運用されている場合は、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

なお、会社によってはテレワーク環境整備のために、従業員に対しオフィスデスクやチェア、事務用品などを提供するケースもあります。この場合、会社を退職したり、テレワークをしなくなったりした場合に返還義務がある場合は「貸与」とみなされるため、従業員に対する給与として課税する必要はありません。しかし、返還義務がない場合は、従業員に対する現物給与として扱われるので、課税する必要が出てきます。    


2021/01

イベントのチケットは、払い戻さず寄附するのも一案。控除を受けるための流れを解説

イベントの中止が相次いだからこそ

2020年を一言で表すと「いろいろなことが想定外」な一年だったといえるでしょう。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴い、これまでの生活が一変してしまいました。

もちろん、イベントにもその影響は及んでいます。本来だったら7月に開催するはずの東京オリンピックなど、様々なイベントが中止になったのです。スポーツ観戦が好きな方なら「チケットを買ったのに」と、悔しい思いをされたかもしれません。

本来、これらのイベントのチケットは、主催者から払戻しに関するアナウンスが行われ、それに従い返金処理を進めていきます。しかし「何となく寂しい」などの理由で、まだ手元にあるなら、いっそ払い戻さず、寄附するのも1つの方法です。

スポーツ庁は、2020年4月30日に「チケットの払戻請求権の放棄を寄附金控除の対象とする税制改正」を行いました。簡単にいうと、対象にとなるイベントのチケットを持っている人であれば、主催者に連絡し、所定の手続きを行うことで寄附金控除ができ、結果として所得税が安くなる制度です。

寄付金控除の適用を受けるには?

ここで、寄附金控除の適用を受けるための簡単な流れを説明しましょう。

まず、自分が持っているチケットが、この制度の対象となるイベントのものかどうかを確認します。なお、スポーツ庁のWebページで、対象となるイベントの一覧が公開されています。

https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/detail/jsa_00002.html?fbclid=IwAR0CunWddQYdpF7h8ofPR1DHbgMRAG2P8GuZxc_hc4AGsgSidcJWelRIeEQ

次に、主催者に払戻を受けない意思を連絡しましょう。その後、主催者から「指定行事証明書」「払戻請求権放棄証明書」が交付されます。これらの証明書を、確定申告を行う際に、添付書類として税務署に提出すればいいだけです。なお、イベントのチケットは、手元に保管しておきましょう。

また、既に払い戻しを受けていたとしても、主催者に払戻分を寄附する旨を連絡し、その後、実際に寄附をする形でも、この制度が利用できます。

スポーツイベントやエンタメイベントは、不要不急の用事ではないかもしれません。しかし、人の心を豊かにするためにはやはりなくてはならないものです。一日も早く新型コロナウイルス感染症が収束することを祈りつつ、今はできることを続けましょう。     

2020/12

新型コロナウイルス感染症は確定申告にも影響。最低限確認すべきポイントを解説

令和元年分の対応をまずはおさらいしよう

2020年に入り、中国で発生した新型コロナウイルス感染症は、日本を含めた世界中に波及しています。フランス、アメリカのように大規模な外出禁止令が敷かれたわけではありませんが、日本でも「外出しないこと」を前提にした対応が求められたのは事実です。

国税庁も例外ではなく「外出できなくても問題がないようにする」という方向で、調整を図っていました。例えば、令和元(2019)年の確定申告については

・ 本来の期限は令和2(2020)年3月16日であったところ、1カ月延長して4月16日にした
・ 4月17日以降であっても、税務署への申請により、確定申告書の提出を受け付けることにした

など、例年では考えられないほど、柔軟な対応がなされています。

また、申請についても、所定の書類や医師による診断書が必要になるわけではありませんでした。申告書を提出する際に、その余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」といった文言を付記すればいいだけです。なお、e-Taxを使っていた場合は、所定の欄にその旨を入力するだけでした。

「外に出ない」方法で対応しよう

令和2年度の確定申告についても、令和元年度と同じような対応がなされるのかは、まだわかりません。冬を迎え、新型コロナウイルス感染症の感染者がまた増加し始めている現状を考えると、あり得ない話ではありませんが、ここは国税庁の公式発表を待つしかないでしょう。

従来は、確定申告というと、税務署に書類を持参したり、銀行に出向いて振込をしたりなど「外に出て行う」のが基本の手続きでした。

しかし、今では

・ パソコンで申告書を作って郵送する
・ e-Taxを使う
・ インターネットバンキングやクレジットカードで納付する

など、外に全く出ないか、出たとしても家の近所のコンビニエンスストアだけで用が足りるほど、確定申告の手続きも便利になっています。このような方法を取り入れるのも、感染症対策の1つです。

まずは早めの相談を

確定申告との関係において、新型コロナウイルス感染症は災害の1つとして扱われています。そのため、本来は災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2カ月以内に申請を行わなくてはいけません。

つまり、確定申告書もこのタイミングで提出しないといけないのですが、提出すると同時に納税の義務が生じます。しかし、手元に資金がないなどの理由で納税することが厳しい場合は、早めに各国税局の国税局猶予相談センターに相談しましょう。     

2020/11

2020年1月1日から基礎控除は10万円アップ。それでも減税にならない人がいるのはなぜ?

2020年1月1日から基礎控除は10万円アップ

基礎控除とは、所得税や住民税の計算をするときに、所得(収入ー費用)から一律で差し引かれる金額のことをいいます。計算にあたって差し引かれるため、基礎控除の額が大きくなれば、結果として支払うべき税金も安くなるのです。

従来、この基礎控除は合計所得金額がいくらであったとしても、一律の金額(所得税の場合は38万円、住民税の場合は33万円)が適用されていました。しかし、2020年1月1日からは、合計金額が2,400万円以下であれば所得税は48万円、住民税は43万円の基礎控除が受けられるという決まりに変わったのです。

その一方で

・ 合計所得金額が2,400万円超2,450万円以下の場合は、所得税は32万円、住民税は29万円
・ 合計所得金額が2,450万円超2,500万円以下の場合は、所得税は16万円、住民税は15万円
・ 合計所得金額が2,500万円超の場合は適用なし

というように、所得金額が上がれば上がるほど、基礎控除は少なくなり、最終的にはゼロになるという改正がなされたのです。


基礎控除が上がったのに減税にならないのはなぜ?

既に触れたように、基礎控除は合計所得金額が2,400万円以下であれば引き下げられることになりました。これと同時に、給与所得控除額についても、以下のように変更がなされています。

給与等の収入金額:給与所得控除額

・ 1,625,000円:550,000円
・ 1,625,001円から1,800,000円まで:収入金額×40%-100,000円
・ 1,800,001円から3,600,000円まで:収入金額×30%+80,000円
・ 3,600,001円から6,600,000円まで:収入金額×20%+440,000円
・ 6,600,001円から8,500,000円まで:収入金額×10%+1,100,000円
・ 8,500,001円以上:1,950,000円(上限)

このうち、給与等の収入金額=年収が850万円以上のケースについて見てみましょう。
従来、年収が850万円超1,000万円以下の人については、給与所得控除額は「収入金額×10%+120万円」という式で計算されました。

例えば、年収が900万円だった場合、給与所得控除額は210万円(900万円×10%+120万円)となります。しかし、改正後は195万円にまで下がるのです。

給与所得控除額が下がるということは、差し引ける金額が少なくなるため、結果として支払うべき税金が増えます。基礎控除額が引き上げられたことで、一見すると減税されたようにも思えますが、実際のところは、増税になるケースもあることを覚えておくといいでしょう。     

2020/10     

知っていそうで知らないふるさと納税の基本を解説!

ふるさと納税とは

本来、税金は国か自分の住んでいるところ(都道府県、市区町村などの自治体)に対して納めるものです。しかし、ふるさと納税を行うことで、自分や家族の出身地、そのほかの縁がある場所に対して税金を納めることができます。ただし、名前に「納税」とあるものの、実態は寄付に近いと考えましょう。つまり、任意(自分が住んでいなくても可能)の自治体に寄附をし、その寄付金額を現在住んでいる自治体に対して申告を行い、寄附分を控除するという仕組みです。

ふるさと納税のメリットとしてはは、1)返礼品がもらえる、2)税金が控除(還付)される、3)寄付金の使い道を指定できる、の3つが挙げられます。まず、1)についてですが、肉・魚・米・お酒・お菓子などの食品やその地域の名産品はもちろん「お墓の掃除代行サービス」などのユニークなものを設けている自治体もあります。2)については既にふれた通りです。

また、3)については「若者の移住、定住、就業を応援する事業」「地震、台風などの災害からの復興」「高齢者福祉・児童福祉の充実」など、自治体によって様々な目的が設けられています。自分の考えに最も合う目的を掲げている自治体を選び、ふるさと納税を行うのも1つの考え方です。

確定申告とワンストップ特例制度の違いを知ろう

なお、実際にふるさと納税を行うには、いわゆるポータルサイトを利用し、オンラインショッピングをする際と同じような操作で手続きを行うのが一般的です。これ自体は何ら難しくありませんが、問題なのは「どうやって税金控除の手続きをするか」でしょう。確定申告をするのか、ワンストップ特例制度の適用を受けるのか、選択しなくてはいけません。

まず、フリーランスや経営者など、確定申告をするのが前提の職業であれば、確定申告の際に一緒に自治体から交付された寄付金受領証明書を、確定申告書類と一緒に提出しましょう。これにより、所得税からの還付と、住民税からの控除が受けられます。なお、この場合、寄付をした翌日の3月15日までに提出しなくてはいけません。

一方、サラリーマン、OLなど「どこかに勤めて給料をもらっている人=給与所得者」であれば、ワンストップ特例制度を使うのもいいでしょう。これは、寄付の都度、各自治体に申請書および本人証明書類を提出することで、住民税からふるさと納税による寄付額のうち、2,000円を超える部分を控除してもらえるという制度です。

ただし、この方法によった場合、1年間で寄付できる自治体は5つまでになります。また、申請書も寄付をした翌年の1月10日に必ず自治体に届いていないといけないので、年末にまとめてふるさと納税をした場合は間に合わないかもしれません。スケジュールには注意しましょう。    

2020/09

テレワーク導入には中小企業強化税制も活用可能。専門家と相談し、利用を検討すべき

新型コロナはテレワーク導入の追い風になるか 

業種や企業の風土にもよりますが、日本は諸外国に比べると比較的「出社して顔を突き合わせて仕事をすること」に重きが置かれている文化です。そのため、今までテレワーク(在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務など)の導入はあまり進んできませんでした。総務省の平成29年通信利用動向調査によると、日本企業におけるテレワークの導入率は13.9%でした。
そのうち、在宅勤務の導入率は29.9%、モバイルワークの導入率は56.4%、サテライトオフィスの導入率は12.1%と、モバイルワーク以外のテレワークを導入している会社は、ごくわずかだったのです。

参照:総務省|平成30年版 情報通信白書|広がるテレワーク利用
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144310.html#:~:text=%E7%B7%8F%E5%8B%99%E7%9C%81%E3%81%AE%E5%B9%B3%E6%88%9029,%E3%81%AF12.1%EF%BC%85%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

しかし、2020年に入り、日本を含めた全世界で新型コロナウイルス感染症が流行したことから、従業員の感染防止の名目で、在宅勤務を中心にしたテレワークの導入に踏み切る企業が出てきました。
それでも、実際にテレワークを実施した会社は、全体の3割にも満たなかったのです。

出典:緊急事態宣言の発令後、テレワーク実施27% 民間調査、「通常出勤」53% :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58375660S0A420C2TJ1000/

中小企業強化税制が改正され、テレワークの導入にも活用可能に

テレワークを導入しない理由として

顧客情報を扱うなど、機密保持が求められるのでテレワークへの移行が難しい
社内に導入に対応できる人材がいない
テレワークの導入は検討しているが、予算の面で折り合いがつかない
そもそも、販売、サービス業など「テレワーク」という概念が存在しない業種である

などが考えられます。最後のケースの場合は、さすがに導入のしようがありません。しかし、他の3つのケースのように、セキュリティ、人材、予算の面で折り合いがつく見込みがあるなら、テレワークを導入し、従業員や取引先の感染拡大防止に努めるのも、企業が果たすべき社会的責任の1つでしょう。

そこで活用してほしいのが、中小企業強化税制です。これは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)が選択適用できる制度ですが、従来から対象となっていた生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)に加え、デジタル化設備(C類型)も対象となりました。つまり、テレワークの導入のために必要なシステムの整備を行うと、即時償却または取得価格の10%(または7%)の税額控除が受けられるということです。

実際にテレワークを導入し、中小企業強化税制の適用を受けるには、システム会社や税理士と連携し、自社に合った形で進めていく必要があります。「うちもテレワークを導入しよう」と思ったら、まずは相談してみましょう。

参照:中小企業庁:テレワーク等を促進するために中小企業経営強化税制が拡充されました
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501kyoka.html

 2020/08    

人がずっと住んでいない空家は要注意。空家の固定資産税について解説

空家にかかる税金は?

一戸建て、マンション、土地などの不動産を所有していると、固定資産税や都市計画税がかかります。そして、この2つの税金はその年の1月1日時点の所有者が支払わなくてはいけません。たとえ「今、住んでいない」空家であったとしても、支払い義務を免れることはないので注意しましょう。

また、固定資産税や都市計画税には「住宅用地の特例」という制度があります。人が生きていく上で、家は必要不可欠なものです。当然、住んでいる家にも固定資産税や都市計画税はかかりますが「生きていくのに必要なものだから」という意味もあり、人が住むための住宅については、固定資産税・都市計画税が安くなります。

より正確にいうと、住宅用地に対する固定資産税は最大で1/6、都市計画税は1/3まで減額されますが、平成26年度まではすべての住宅について適用が受けられました。しかし、平成27年度からは特定空家等への適用がなくなったのです。

特定空家とは

2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」で、特定空家について以下のように定義されています。

「特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう」

つまり、簡単にいうと「管理が行き届いておらず、人が到底住めそうにないボロボロの空家」と考えましょう。平成26年まではどんなに状態の悪い空家であっても、建っている限りは住宅用地の特例の適用が受けられました。しかし、平成27年以降は、特定空家に指定されてしまった場合は、特例の適用が受けられません。

もちろん、特定空家といっても、状態は様々です。植え込みを刈り取ったり、ドアを修理したりするなど必要な処置を行えば、特定空家の指定が取り消されることもあります。取り消されればもちろん、住宅用地の特例を受けることは可能です。

また、必要な処置を行う予定なら、できれば特定空家に指定されたのと同じ年のうちに対応を済ませましょう。特定空家の認定の取消が翌年の1月2日以降にずれこむと、翌年分の固定資産税と都市計画税は高い税率が適用されてしまうので、気を付けてください。     

     

2020/07

マイナンバーカードを使って25%還元!マイナポイントを徹底解説

本来は東京オリンピックのあとの景気刺激策だった

2020年9月から、マイナポイント事業が開始されます。これは本来は、2020年6月に終了するキャッシュレス・消費者還元事業や2020年7月に開催されるはずだった東京オリンピックの終了後の景気刺激策として考えられていたものです。しかし、2020年2月ころから全世界で流行し始めた新型コロナ感染症の影響により、東京オリンピックは延期されました。
 「東京オリンピック終了後の景気刺激策」という本来の目的からは外れてしまいましたが、別の意味でマイナポイントには注目すべき点があります。1)マイナンバーカードの所持率の向上、2)キャッシュレス決済への関心、の2点です。
 まず、1)についてですが、2020年4月時点でのマイナンバーカードの所持率は16%にとどまっています。制度開始(2016年)から約4年たつにも関わらず、このような低い水準にとどまっている理由の1つには「マイナンバーカードを持つ具体的なメリットがわかりにくい」ことがあるでしょう。そのため、具体的なメリットを打ち出す施策の1つとして、マイナポイント事業がとらえられるはずです。
 また、2)についてですが、キャッシュレス決済は現金を触らずに、店員とのやり取りも最低限にして決済ができる方法です。そのため、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い厚生労働省が発表した「新しい生活様式」においても、キャッシュレス決済の利用は推奨されています。

マイナポイントに参加するには?

実際にマイナポイントに参加するためには、どうすればいいかを解説しましょう。まずは、マイナンバーカードとスマートフォンを用意します。スマートフォンに専用のアプリをインストールし、マイナンバーカードを読み取らせたあと、パスワードを入力すれば完了です。この手続きを「マイナポイントの予約」といいます。なお、各市区町村の対応窓口やケータイキャリアショップ、コンビニのマルチメディア端末でも手続きができるので、自分でできそうにない人は活用しましょう。
 次に、2020年7月に入ると、マイナポイントの予約が開始されます。アプリからマイナポイントの公式サイトにアクセスし、自分が利用したいキャッシュレス決済サービスを1つ選びましょう。そして、2020年9月に入ると、マイナポイントを決済サービスで利用できるようになります。選んだ決済サービスにチャージしたり、支払いを行ったりすると、利用額の25%のポイント、残高が付与される仕組みです。なお、マイナポイント事業は2021年3月31日まで実施されますが、この間に付与されるポイント、残高の上限は5,000円までとなっています。     

2020/06

「パナマ文書」がなぜ大騒ぎ?タックスヘイブンの問題点を解説

数年前「パナマ文書」という言葉が、日本を含め世界のニュースになりました。簡単に言うと、パナマの法律事務所が作成した世界の企業や個人によるタックスヘイブン(租税回避地)の利用実態が記載された文書です。しかし、この文書がきっかけで、当時のアイスランドのグンロイグソン首相は辞任に追い込まれるなど、各国で富裕層の租税回避を追及する動きが加速しました。今回は、タックスヘイブンについて、改めて振り返ってみましょう。

なぜ、企業や富裕層はタックスヘイブンを使うの?

タックスヘイブンとは、国際金融取引を円滑に行うため、法人税などの税金の一部が完全に免除される国や地域のことを指します。日本語では租税回避地と言います。有名なところでは、パナマ、バージン諸島、ナウルなどがこれにあたるでしょう。
タックスヘイブンを租税回避のために使う仕組みは、簡単に言うと「タックスヘイブンに会社を設立し、その会社を通じて税務申告を行えば、法人税などの税金がただになる」ということです。
会社を設立するといっても、現地に事務所を置くわけではなく、専用の私書箱を置いて済ませ、その管理も代行業者に任せる場合がほとんどでしょう。まさに「租税回避だけのためにタックスヘイブンに実体のない会社=ペーパーカンパニーを設立する」と言って過言ではありません。
つまり、企業や富裕層は、毎年支払う税金を節約するために、タックスヘイブンを使って租税回避を行う場合もあると考えましょう。

タックスヘイブンの何が問題なの?

そもそも、タックスヘイブンができたのは「世界中から企業に進出してもらうため」でした。パナマ、ケイマン諸島、ナウルなどタックスヘイブンとして知られる国・地域は、もともと「産業や資源のない国」である場合が多いです。そのような地域で産業を盛り立てるためには、海外の企業に自分たちの国・地域でビジネスをしてもらうしかありません。そのための方法の一環として、税金を免除し、海外の企業が進出しやすくしたのです。
しかし、海外の企業が進出しやすくなった一方、別の弊害が生まれました。マネーロンダリングに悪用されるようになったのです。マネーロンダリング(資金洗浄)とは「麻薬・覚醒剤の密売、詐欺など犯罪行為により稼得した資金を架空または他人名義の金融機関口座などを利用し、転々と送金を繰り返したり、株や債券を購入したりするなどして資金の出所をわからなくする」ことをいいます。
タックスヘイブンに設立されたペーパーカンパニーに関しては、情報が開示されてない場合がほとんどです。そのため、司法当局の監視もかいくぐりやすいことから、マネーロンダリングに悪用されているのが実情でしょう。
もちろん、タックスヘイブン自体は違法なものではありません。また、日本も含めた世界各国の企業・富裕層が使う分にも、自国で正しく納税さえしていれば何ら問題はありません。
ただし、情報が開示されておらず、犯罪の温床にもなりやすいことから、タックスヘイブンに指定されている地域の監視は注意深く行っていく必要があります。

2020/05   

キャッシュレス還元終了後はキャッシュレスを続けるべき?続けるメリットとデメリットをまとめてみた

2019年10月から始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」。これは本来、2020年6月までの期間限定の事業でした。しかし、この事業が導入されることをきっかけに、今まで現金決済しかできなかったお店や会社(=事業所)にも、キャッシュレス決済ができる機材が導入されるのは珍しくなくなりました。

そこで「キャッシュレス・消費者還元事業が終了した後はキャッシュレスを続けるべき?」という疑問に対し、続けるメリットとデメリットを踏まえた上で、考えてみましょう。

1.キャッシュレスを続けるメリット

最初に、キャッシュレスを続けるメリットとして1)機会損失を減らす、2)衛生上の観点からも歓迎される、の2点を解説します。

1-1.機会損失を減らす

キャッシュレス決済のメリットとして「手持ちの現金がなくても支払いができる」ことが挙げられます。そのため、防犯上の観点から高額の商品をキャッシュレス決済で購入する人は少なくありません。また、通信販売など対面取引を伴わない場合も、銀行口座への振込に比べて手数料や手間がかからないことから、キャッシュレス決済を選択する人は多いです。それにも関わらず、現金決済以外受け付けていないとすると「あのお店は現金しか受け付けてくれないから」と、避けられる要因になりかねません。「キャッシュレス決済ができないためお客さんを取りこぼす」という機会損失を避ける意味で、キャッシュレス決済の導入は有効でしょう。

1-2.衛生上の観点からも歓迎される

2020年に入って世界的に大流行している新型コロナウイルスによる感染症は、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。その中の1つが「現金を素手で取り扱うことのリスク」です。大手都市銀行の支店で現金の集計を伴う業務に従事していた行員が新型コロナウイルスに感染したという報道がなされたことで、「現金を扱うこと」に対し、心理的な抵抗を覚える人が出てきたのも事実でしょう。このため、今まで支払いに現金を使っていた人でも、クレジットカードなどのキャッシュレス決済に切り替えているのは珍しくありません。キャッシュレス決済の機会を保つことは、衛生上の観点からも歓迎されるでしょう。

2.キャッシュレス決済のデメリット

一方、現状においてキャッシュレス決済を導入している事業者にとってのキャッシュレス決済のデメリットとして挙げられるのが「手数料の高さ」です。この点についても解説しましょう。

2-1.手数料負担と便利さはトレードオフ

利用しているキャッシュレス決済業者によっても差はありますが、キャッシュレス決済を利用していくには、毎月所定の手数料を支払わないといけません。つまり、その分利益が減ることになるので、資金が潤沢でない中小事業者にとっては、毎月の手数料負担にどれだけ耐えられるかが、キャッシュレス決済を続けるかどうかの判断の分かれ目になります。裏を返せば、キャッシュレス決済を導入したら売上が劇的に上がったなど、目に見えた効果がない場合は、手数料負担も考えて取りやめるのも1つの選択肢になり得るでしょう。

2020/04     

相続は税理士に相談して進めるのがベストな3つの理由

相続税の申告は自分でもできるけど

大切な人を見送った後にやらなくてはいけないことは、実はかなり多いです。もちろん、相続税の申告も、その中に含まれるでしょう。
正直なところ、相続税の申告=相続税をいくら支払わなくてはいけないか計算し、期限までに書類を出して、実際に納めるべき金額を払うこと自体は、税理士に頼まなくてもできます。しかし、実際は税理士に頼んだ方が、自分でやることを大幅に減らせるうえに、後々トラブルにもなりにくいのです。そこで今回は「相続は税理士に相談して進めるべき」理由について解説します。

理由1.税務調査の対象になりにくい

相続税の申告書には「作成税理士の事務所所在地・署名押印・電話番号」の記入欄があります。つまり、申告書の作成を依頼した税理士の情報がここに書き込まれるわけです。
そのため、この欄に何も書かれていないと「税理士が関与していないから、情報が間違っているかもしれない」という疑念を税務署に与えます。当然、税務調査の対象にもなりやすいので何かと面倒です。

理由2.添付書類が揃わないこともある

相続税には「配偶者控除」「小規模宅地の特例」など、結果として相続税として支払うべき金額を低くできる控除・特例がたくさん設けられています。しかし、これらの控除・特例を使うためには、必要な書類を漏れなくそろえ、申告書と一緒に提出しなくてはいけません。
ほとんどの人にとっては「どんな書類をいつまでにそろえなくてはいけないか」をすべて把握するのは至難の業です。結果として、控除・特例を使うことができずに、相続税として支払うべき金額が膨れ上がってしまうという事態に発展するのも考えられます。

理由3.時間の節約になる

相続税の申告期限は「相続が開始してから10か月後」です。期限に1日でも遅れると、延滞税や無申告加算税と言って「遅れたことに対するペナルティ」がかかります。
相続に対する知識があるならまだしも、まったく初めての場合は、何をすればいいかわからないはずです。
しかも、相続以外にもやらなくてはいけないことがたくさんある状態でトラブルなく進めるのはまず不可能でしょう。トラブルなく進めるためにも、税理士に相談する方が無難です。

相続に強い税理士を選ぼう

そして、最後に重要なことを1つお伝えします。税理士は税理士でも「相続に強い税理士」を選ぶのがコツです。税理士によっても、得意な分野と不得意な分野は明らかにあります。。中には、相続の案件をほとんど手がけたことがない人もいるのです。
ご家族やお友達からの紹介であれば確実ですが、つてがない場合は、地域の税理士会に相談するなどして探してみましょう。     

2020/03

税務調査=脱税ではありません。本当のところを解説します

あの映画が思い浮かぶ人もいるはず

いきなりですが、あなたは「税務調査」と聞いて、どんな絵を思い浮かべますか?スーツの人がたくさんやってきて、ゴミを調べたり、朝から聞き込みをしたり、床の下に隠していた金塊を取り出したり……それは、映画の見過ぎです。
故・伊丹十三氏が監督した「マルサの女」という映画があります。この映画は税務調査を描いたものですが、正確には強制調査(査察調査)といって、巨額で悪質な脱税を摘発するために行うものです。強制調査により脱税が確定されれば、検察庁に告発され、刑事事件として処理されます。つまり「脱税で逮捕される=強制調査の結果、脱税が確定される」と考えていいでしょう。
そして、強制調査を行う部署として、国税庁には査察部が設けられています。査察部の通称が「マルサ」と呼ばれているので、「査察部=マルサで働く女性の話」を意味するタイトルがつけられました。
なお、国税庁のホームページによれば、平成30年度の査察事案として告発が行われた事案は121件だったとのことです。このうち、重点事案として告発された=大規模な脱税として告発された件数は、消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件とのことでした。また、告発された事案にかかる脱税分は112億円にのぼります。

基本は「任意調査」。任意だけど断れないので注意

データから見ても、ほとんどの人には強制調査は縁がないと考えていいでしょう。しかし、後ろ暗いことをしていなくても、税務調査は行われるのです。
任意調査といって、犯罪を前提にしないで行う税務調査がこれに当たります。「任意ということは、答えたくなければ答えないでいいのでは?」と思うかもしれませんが、そうでもありません。
たしかに、任意調査は、納税者の同意を得て行うのが前提です。しかし、税務署員には「質問検査権」があります。つまり、必要に応じて調査対象者の事業に関する書類の検査・提示・提出を求めることができるのです。
結論から言うと、任意調査であっても、基本的に断れないものと考えてください。
実際には、税務調査を行う場合は、事前に所轄の税務署から税務調査を行う旨および日程が通知されます。その日程で都合がつかない場合は、変更を申し出ることもできるので大丈夫です。
連絡があった時点で顧問税理士に連絡し、準備すべきものや当日の流れを相談しましょう。しかし、顧問税理士自体がいない場合は、新たに税理士にサポートしてもらうよう頼むのをお勧めします。税務調査まで時間がなくても、スポット契約の形で税務調査に立ち会ってくれる税理士も中にはいるので、あきらめずに探すことが必要です。
     

2020/02     

確定申告を1からわかりやすく解説。期限厳守の本当の理由は?

確定申告とは?

(所得税の)確定申告とは、前年の1年間の収入・支出からその人が払わなくてはいけない税金(所得税)を計算し、税務署に伝えた上で実際に払うことです。会社などに勤めて、給料をもらっている人(給与所得者)であれば、給料から税金が天引きされている(源泉徴収)されているので、例外にあてはまらない限りは、確定申告をする必要がありません。
 一方、自分でビジネスをしている人(個人事業主)は、会社がやってくれるわけではないので、確定申告を必ず行うことになります。また、サラリーマンであっても、以下の条件にあてはまる場合は確定申告が必須となるので、忘れないようにしましょう。
 
 給与収入が2,000万円を超える人
 収入源が複数ある人(給与収入が1か所でそれ以外の所得が20万円以上ある人)
 2つ以上の会社より給与を得ていて、年末調整されていない給与収入と給与及び退職所得以外の所得合計が20万以上の人
 会社で年末調整をしていない人
 年末調整では清算できない控除がある人(医療費控除、住宅取得控除)
 住宅ローン控除を初めて受ける人(2回目以降は年末調整で可能)
 確定申告でしか清算できない収入がある人(事業所得、株式、退職金、年金など)

期限厳守の本当の理由は?

確定申告において、非常に重要になるのが期限を守ることです。所得税の場合、確定申告の期限は毎年2月中旬から3月中旬までとなっています。なお、2020年の場合は2月17日から3月16日までです3月16日までに手続きが完了すればさほど問題はありませんが、万が一遅れた場合、「期限後申告」として扱われます。ペナルティとして「無申告加算税」と「延滞税」を上乗せして払うことになるので、気を付けましょう。
無申告加算税とは「期限通りに申告手続きを終わらせなかった」ことに対する罰金としての税金です。税務署の指摘を受けるまえに自主的に期限後申告した場合は本来納税すべき金額に対して5%が上乗せされます。また、税務署の指摘のあとで期限後申告した場合は、納税額のうち50万円までは10%、50万円を超える部分は15%が上乗せされるので注意しましょう。ただし、以下の条件に当てはまれば、無申告加算税は課されません。

 申告期限後1ヵ月以内に自主的に申告している
 直近5年間に期限後申告がない
 確定申告の期限内(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)に納税は済ませている

延滞税とは「期限通りに納めるべき税金を納められなかった」ことに対する罰金としての税金です。クレジットカードの支払いなどの債務の返済が期日通りになされなかった場合の遅延損害金をイメージするとわかりやすいでしょう。
なお、延滞税をいくら支払わなければいけないかは、国税庁のホームページからシミュレーションできます。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai.htm

いずれにしても、期限に遅れるのはマイナスでしかないので、早めに準備をし、余裕を持って確定申告を終わらせるようにしましょう。自分じゃできそうにない、と思った時点で税理士などの専門家に協力を仰ぐのも効果的です。

     

2020/01

「スマートフォンで確定申告」

2020年からスマートフォンでも確定申告が可能に。利用できる人の条件は?

利用対象者がさらに拡大!

所得税の確定申告において、電子申告=e-Taxはすっかりおなじみになりました。しかし、従来のe-Taxには、1)パソコンから手続きを進めないといけない、2)カードリーダーライターを買って設定を済ませなければいけない、など、パソコンに不慣れな人の場合はかなり難しいものだったのも事実です。
そこで、2019年1月4日から国税庁は「確定申告書作成コーナー」にスマートフォン専用の画面を設定したほか、カードリーダライタ―がなくても利用できるよう、あらたに「ID・パスワード形式」を提供し始めしました。これにより、かなりe-Taxの利用のハードルが下がりましたが、まだ問題があったのです。
平成30(2019)年分の利用対象者は、次の条件に当てはまる人だけが、スマートフォン専用画面を使えました。

・ 収入:給与所得(年末調整済1か所)
・ 所得控除:医療費控除、寄附金控除
・ 税額控除:政党等寄附金等特別控除

一方、令和2(2020)年分の利用対象者は、ここまで広がっています。

・ 収入:給与所得(年末調整済1か所、年末調整未済、2か所以上に対応)公的年金等、その他雑所得、一時所得
・ 所得控除:すべての所得控除
・ 税額控除:政党等寄附金等特別控除、災害減免額
・ その他の項目:予定納税額、本年分で差し引く繰越損失額、財産債務調書(案内のみ)

ただし、拡大された利用対象者の中に、事業所得・不動産所得・譲渡所得を得ている人は含まれていません。副業をしているサラリーマンの方は、従来通りパソコンから確定申告を済ませないといけないので、注意しましょう。

カードリーダライタなしでe-Taxを使うには?

従来のe-Taxは、マイナンバーカードとICカードリーダライタを購入し、必要な設定を済ませないと進められませんでした。
しかし、平成30(2019)年から、ID・パスワード方式も採用されています。税務署で発行される「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されたe-Tax用のID・パスワードを使う方法です。ID・パスワードを発行してもらうためには、本人確認書類を持って、住所地を管轄する税務署に行きましょう。
ただし、国税庁によれば、あくまでマイナンバーカードおよびICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な措置であるとのことです。これからもe-Taxを使い続けていく予定があるなら、ICカードリーダライタを購入してもいいかもしれません。オンラインショッピングや家電量販店で2,000円台で購入できます。
     

2019/12

人事・総務担当者必読!2019年から2020年にかけて、年末調整の書類はこう変わります

年末調整の時期も近づいてきたけど……

ハロウィンが終わり、街中の飾りがクリスマス一色になってくる頃には、人事・総務の担当者の人にとっての一大イベントが待ち構えています。それが、年末調整です。
会社勤めの人(給与所得者)の給与やボーナス(賞与)については、あらかじめ所得税を差し引かれた(源泉徴収された)形で、受け取ります。しかし、「生命保険をかけている」「住宅ローンを払った」「子どもが多いので生活費がかかる」などの理由で、実際に支払うべき税金より多く差し引いていたことも考えられるのです。そのため、必要な書類を提出してもらった上で本来支払うべき税金を計算し、差額を払い戻す(還付する)仕組みとして、年末調整が取り入れられています。
今回は、年末調整の書類についての変更点をいくつか解説しましょう。

2019年の年末調整の書類に関する変更点

2019年の年末調整の書類に関する変更点として、1)元号表記の変更、2)住宅ローン控除申告書の記載事項変更、の2点を抑えておきましょう。
まず、1)についてですが、2019年5月1日に皇位継承が行われたことにより、平成から令和へ元号が変わりました。そのため、総務省が公表している控除申告書や給与支払報告書の様式においても、元号は令和に改められています。しかし、扶養控除等(異動)申告書では、2019年5月1日以降を表す元号として「平成」が使われているのです。これは、扶養控除等(異動)申告書がその年の最初の給料を受け取るまでに提出する書類であることが関係しています。なお、西暦も併記されているので、無理に元号を令和に直す必要はありません。

次に、2)は、住宅ローン控除を受ける人が勤務先に提出する「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」についての変更です。平成31年(2019年)4月1日以降に提出される申告書では、以下の項目については提出者が記載する必要がなくなりました。

・ 住宅の取得年月日・居住開始年月日
・ 取得対価・費用の額
・ 床面積(特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けている場合)
・ 2%の控除率の対象となる工事費用の額

記載をしない代わりに、企業側の人事・総務担当者は、税務署から発行された控除証明書に記載された金額を確認し、手続きを進めることになります。

2020年の扶養控除等(異動)申告書の変更点

また、2019年分の年末調整を行う際に、ついでに2020年分の扶養控除等(異動)申告書の提出を求める場合もあるでしょう。関連する知識として、1)各種控除における所得の見積額の条件、2)単身児童扶養者の記載事項追加、の2つの変更点についても押さえておきましょう。

1)についてですが、扶養控除等(異動)申告書で申告する各種の控除について、所得の条件に関する金額が、2020年から以下の通り変更されます。

・ 源泉控除対象配偶者に関する控除:95万円以下(改正前:85万円以下)
・ 扶養控除/寡婦(寡夫)控除:48万円以下(改正前:38万円以下)
・ 勤労学生控除:75万円以下(改正前:65万円)

2)についてですが、扶養控除等(異動)申告書から、住民税に関する事項として「単身児童扶養者」欄が追加されました。つまり、申告書の提出者が単身児童扶養者であった場合は、児童扶養手当の証書番号や同一生計内すべての児童の氏名・所得見積額を記載しなくてはいけません。なお、単身児童扶養者とは、児童扶養手当を受けている未婚のひとり親(シングルマザー・ファーザー)で、対象児童の総所得金額等が48万円以下の人を指します。

まとめ

年末調整に関連する書類の変更点として、主要なものを紹介しました。元号は比較的わかりやすいはずですが、それ以外はわかりにくいかもしれないので、事前にしっかり確認しておきましょう。     

2019/11

マイホームを買った人必見!住宅ローン控除を受けるには?

「実は今年、マイホームを買った」という人は、あなたの周りにいませんか?もしくはあなた自身がそうかもしれなかったら、住宅ローン控除が受けられるかどうか、確認しましょう。
状況次第では、支払うべき税金をかなり安くできるかもしれません。そこで今回は、住宅ローン控除(減税)について説明します。

1.住宅ローン控除(減税)とは?

最初に、住宅ローンがそもそも何かについて説明しましょう。

1-1.住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除(減税)を簡単に言うと、「マイホームを買うために住宅ローンを組んだ場合、一定の割合に相当する金額が所得税から控除される(=差し引かれる)制度」のことです。マイホームを買おうとする人の経済的な負担を和らげる効果があります。


2.住宅ローン控除を受けられるのはどんな時?

それでは、どんな時に住宅ローン減税を受けられるのでしょうか?

・ 建物に関する条件
・ ローンの種類に関する条件

から考えてみましょう。

2-1.建物に関する条件

まず、大前提として理解してほしいのが、「住宅ローン控除は、実際に住む家を手に入れるのが前提の制度である」という点です。詳しくは後述しますが、「完成したら6か月以内に住み始めなければいけない」など、適用を受けられる条件が細かく決まっています。
これから家を建てる、という人は、引っ越しのスケジュールもそれに合わせて決めなければいけないので、しっかりチェックしましょう。

2-2.新築の場合

以下の条件を満たす必要があります。

・ 新築もしくは取得日から6か月以内に入居している
・ 借り入れした人の合計所得金額が3000万円以下である
・ ローンの返済期間が10年以上
・ 登記簿に記載されている床面積が50平米以上である
・ 床面積の1/2以上が自分の居住用である

最後の床面積については、「経営者、フリーランスなので、仕事場兼自宅を建てる」という場合に、特に注意しましょう。

2-3.中古の場合

新築の場合の条件に加え、以下の条件を満たす必要があります。

・ マンションなどの耐火建築物は、取得の時点で築25年以内である
・ 耐火建築物以外は取得の時点で築20年以内であるもしくは一定の耐震基準をクリアしている
・ 生計を一にする親族などからの購入ではない
・ 贈与された住宅ではない

2-4.増築・リフォームの場合
新しく家を買うのではなく、増築・リフォームをするためにローンを組む場合も、住宅ローン控除は使えます。ただし、新築住宅の時の条件に加えて、以下の条件を満たすことが必要です。

・ 自分で所有かつ居住する住宅について行う
・ 一定の条件を満たす省エネ・バリアフリー・耐震リフォームもしくは大規模な間取り変更・修繕である
・ 工事費用が100万円超
・ 店舗併用住宅等の場合、居住用部分のリフォーム費用が1/2以上

3.住宅ローン減税を受けるための手続きは?

条件を満たす場合であっても、実際に住宅ローン控除を受けるためには、確定申告を行わなくてはいけません。入居した年の翌年1月1日から手続きができるので、早めに済ませましょう。その際に必要になる書類は、以下の通りです。

3-1.必要書類リスト
以下のものを過不足なくそろえましょう。・ 確定申告書A(第一表と第二表)や(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書については、最寄りの税務署の窓口に行けばもらえます。もちろん、国税庁のホームページからダウンロードも可能です。

・ 確定申告書A(第一表と第二表)
・ (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・ 勤務先の源泉徴収票
・ 金融機関等からの住宅ローンの借入金残高証明書
・ 土地・建物の登記簿謄本
・ 売買契約書または建築請負契約書のコピー
・ マイナンバーの本人確認書類
・ その他、認定長期優良住宅の特例などを利用する場合の書類のコピー

なお、確定申告自体は郵送でも受け付けてくれるので、時間がない人は活用しましょう。     

2019/10

小規模宅地等の特例とは?知っておきたいポイントを解説します

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、簡単に言うと、「一定の条件を当てはまる土地について、相続税評価額を最大80%減額できる制度」のことです。この制度を使えば、相続税を大幅に減額できる可能性があるので、「実家の土地を相続する予定で……」という人は、必ずチェックしておきましょう。

小規模宅地の特例の対象になるのはどんな土地?

もちろん、どんな土地でもこの制度の適用を受けられるわけではありません、次の3つが、この特例の適用を受けられます。

 特定居住用宅地等:住宅として使われていた土地を指します。「実家の親が住んでいた家と土地」はこれにあたると考えましょう。
 特定事業用宅地等:事業を営むために使われていた土地のことです。「実家の親が営んでいた八百屋の建物」はこれにあたります。
 貸付事業用宅地等:第三者に貸したり、その上に賃貸アパートを建てていたなど、貸付を目的として使われていた土地です。「実は実家がアパートを貸していた」などは、これにあたります。

特例の適用を受けるための条件は?

もちろん、特例の対象となる土地であっても、実際に制度の適用を受けるためには、さらに細かい条件があります。それぞれの種類について、条件を説明しましょう。

特定居住用宅地等の場合

故人=亡くなった人や生計を一にしていた親族=一緒に生活していた親族が住んでいた土地を、配偶者が相続する場合は、この特例の適用が受けられます。また、同居していた親族や、生計を一にしていた親族が土地を相続し、そこに住み続ける場合も大丈夫です。なお、相続税の評価額について、この特例の適用を受けられる限度面積は330㎡までで、減額率は80%です。

特定事業用宅地等の場合

相続開始3年前よりも以前からその土地で事業を営んでいて、相続人が相続税の申告期限まで事業を継続していることが必要です。つまり、「亡くなった人がやっていた商売を続けることが条件」と考えましょう。なお、相続税の評価額について、この特例の適用を受けられる限度面積は、400㎡までで、減額率は80%までです。

貸付事業用宅地等の場合

相続開始前からその土地で不動産貸付業を営んでいて、相続人が相続税の申告期限まで不動産貸付業を継続していれば、適用を受けられます。簡単に言うと、「亡くなった後も、アパート経営などを続ける」と考えましょう。なお、相続税の評価額について、この特例の適用を受けられる限度面積は、200㎡までで、減額率は50%までです。

小規模宅地等の特例の注意点

最後に、小規模宅地等の特例について、注意点を2つ紹介しましょう。既に触れた通り、この制度は、「個人が住んでいた、使っていた土地に住み続ける、使い続ける」ことが前提の制度です。仮に、亡くなった人=故人が老人ホームに入居していた場合は、従来はこの制度の適用が受けられませんでした。しかし、平成25年の税制改正により、一定の要件を満たせば、特例の適用を受けられるように変更されています。また、相続時精算課税制度を利用して土地の贈与をしていた場合、小規模宅地等の特例の適用は受けられません。相続時精算課税制度を使う場合は、この点にも注意して検討しましょう。

2019/09

2019年10月からついに消費税率が10%に!史上初の2つの取り組みを紹介します

8%から10%の裏には……

これを読んでいる方の多くがご存知のように、2019年10月1日から消費税の税率が、8%から10%にアップします。消費税が導入された当初の税率が3%だったことを考えると、10%はやはり高い税率に感じるかもしれません。詳しくは後述しますが、消費への影響も懸念されています。
また、今回の消費税率の引き上げにあたり、日本ではこれまで実施してこなかった以下の2つの取り組みが導入されます。

・ 軽減税率の導入 
・ キャッシュレス・消費者還元事業

今回は、この2つの取り組みについて、改めておさらいしましょう。

軽減税率とは?

簡単に言うと、食料品など、一定の条件にあてはまる生活必需品に対しては、通常の税率より低い税率を適用することです。低所得者への配慮として、フランス・イギリスなど、世界の一部の国で導入されています。

なお、日本の場合は、

・ 飲食料品
・ 週2回以上発行されている新聞

については、税率が8%のままになるということです。

ここで、わかりづらいケースを2つほど紹介しましょう。

1)ノンアルコールビールと普通のビール

ノンアルコールビールは、アルコール分1%未満であるため、「飲食料品」として扱われます。なので、軽減税率の対象です。一方、普通のビールは「酒類」として扱われるため、軽減税率の対象とはなりません。

2)新聞の電子版

週2回以上発行されている新聞であっても、紙・電子版のどちらを選ぶかで、適用される税率は変わります。今回の軽減税率で想定している新聞は、紙で発行されているものであるため、電子版の場合は、軽減税率の対象とはなりません。つまり、同じ新聞を読むのに、紙・電子版のどちらを選ぶかで、支払う消費税額も違ってくるのです。
 
このように、一見、同じように見える取引であっても、適用される税率が違ってくるのが、軽減税率においては大きなポイントになります。軽減税率の対象となる品目を扱う事業を行っている事業主の方は、レジシステムの見直し、従業員への教育等も含め、必要な対応の進捗を今一度確認しましょう。

キャッシュレス・消費者還元事業

もう1つの施策として注目されているのが、キャッシュレス・消費者還元事業です。

簡単に言うと、

・ 所定の条件を満たす中小・小規模事業者が営む店舗で
・ クレジットカード、電子マネー、バーコード決済等の決済手段で買い物をすると
・ 購入額の5%もしくは2%がポイント還元される

という事業です。

キャッシュレス・消費者還元事業を行うに至った理由の1つとして、2014年4月に行った消費税率の引き上げが挙げられます。増税前は、いわゆる「駆け込み需要」で、高額のものを買い求める人も多く、景気は一時的に上向きました。しかし、増税後は一転して買い控えが起こってしまい、景気の後退につながったのです。今回の増税で、さらに消費税率があがることから、景気の後退を懸念する声が政財界からも多く上がりました。そこで、景気平準化対策の一環として、キャッシュレス・消費者還元事業の実施が決まったのです。
既にコンビニエンスストア・クレジットカード会社など、関連する企業がこの施策への取り組みの方針を発表しています。全く初めての施策であるため、景気平準化において、どれだけ効果があるのかはわかりません。それだけに、今後の展開を注意深く見守っていく必要があるでしょう。
     

 2019/08

海外出向者の所得税の非居住者の所得税の取扱

海外にいたら、日本の税金はどうなるの?

・ 海外に転勤になった
・ 転勤ではないが、1年近い長期出張が入った

などの理由で、生活の拠点を海外に移すことがあるかもしれません。そうした場合、日本の税金はどうなるのでしょうか?

ここでは、

・ 所得税
・ 固定資産税
・ 住民税

の3つの税金について、考えてみましょう。

所得税は1年がボーダーライン

所得税を払うかどうかの判定にあたって重要になるのが、「居住者」「非居住者」という考えです。日本国籍を持っている人でも、「どこに住所があるか」で、

居住者:日本国内に住所を有している(住んでいる)、もしくは海外への滞在期間が1年未満である。
非居住者:日本国内に住所を有していない(海外への滞在期間が1年以上である)。

のいずれかに分けられます。

そして、会社からの給料などの収入を、どこで受け取ったかも、判定を左右します。「どこで受け取ったか」で、

国内源泉所得:日本国内において受け取った不動産収入、給料、利子など
国外源泉所得:海外において受け取った不動産収入、給料、利子など

に分けられるのです。
ここまでの話を踏まえ、結論を出しましょう。

・ 居住者であれば、国内・国外源泉所得ともに課税の対象となる。
・ 非居住者であれば、国内源泉所得のみ課税の対象となる。

です。なお、非居住者であっても、国内源泉所得が年間20万円以上ある場合は、確定申告・納税が必須です。

固定資産税・住民税は?

次に、固定資産税と住民税についても考えてみましょう。まず、固定資産税は、「その建物、土地を所有している人」に対するものなので、どこにいても払う必要があります。
一方、住民税は、「前年の所得に基づいて、1月1日に日本に住所を有していた人」に課税されるものです。その年の6月から、翌年の5月まで、毎月支払います。例えば、2019年1月1日に出国したら、2020年5月までは住民税を払い続けないといけないのです。
出国のタイミングは自分だけでは決められない部分もありますが、住民税の負担も考えて、スケジュールを組みましょう。

なお、海外にいても確定申告・納税をしなくてはいけない場合は多々あります。
自分の代わりに納税をしてくれる人=納税管理人を立てると、楽に進められるので、親族に頼むか、もしくは税理士に相談しましょう。