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2021/05

コロナ渦で見直しを迫られた事業主必見!中小企業等事業再構築促進事業とは?

変えた方がいいのは分かるけど、先立つものがない!

日本で最初に新型コロナウイルス感染症の報道がなされてから1年以上たちますが、事態は一進一退を繰り返しています。ワクチン接種開始など、良い方向に向かう兆しは見えてきたものの、変異種が発見されるなど、ネガティブな材料もまだまだ多いのが現状です。

医学的な話をここでするのは避けますが、やはり経済への深刻なダメージが発生していることは、重大な懸念事項でしょう。資金力が潤沢にある大企業も、大幅な方針の転換を迫られていますが、そうでない中小企業にとっては「事業を続けるか、たたんでしまうか」の二択を迫られつつあります。

もちろん、思い入れがある事業なら、簡単に廃業したくないのが人情です。そこで

 飲食業なら、テイクアウト販売やオンライン出前サービスへの加盟を行う
 タクシー事業なら、一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、料理の宅配サービスや買い物代行サービスを始める
 サービス業(例:ヨガ・ダンス教室)なら、オンラインレッスンを開始する

など、あの手この手で事業の見直しを図られています。しかし「うまくシフトできればいいけど、先立つものがなくて…」など、資金難を理由に見直し計画の実行に着手できない事業主もいるのが実情です。

このような実情を反映し、経済産業省は新たな施策として「中小企業等事業再構築促進事業
を打ち出しました。

中小企業等事業再構築促進事業とは?

中小企業等事業再構築促進事業とは、簡単に言うと、新型コロナウイルス感染症の影響によって

1. 売上が大幅に減っている
2. 事業再構築に取り組む
3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

の3つの条件を満たす事業者に対し、最大で1億円(事業計画の実行に必要な予算や企業規模、その他の条件により異なる)を補助します。既に、第1回目の公募が3月26日から(応募締切は4月30日)から始まっていますが、令和3(2021)年度内に複数回実施する予定です。仮に、第1回目の締切に間に合わなくても、応募するチャンスは複数回あるので、自分の事業所が対象になるなら、ぜひ申請してみましょう。

なお、この制度の対象となるのは中小企業および中堅企業です。中小企業とは、中小企業基本法と同じく、資本金または従業員数が一定の基準以下(業種により異なります)の会社および個人を指します。また、中堅企業とは、中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金が10億円未満の会社を指します。「もしかしたら、自分の会社でも使えるかも?」と思ったなら、認定経営革新等支援機関として登録されている専門家(税理士など)に一度相談してみましょう。


参照:https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0331
     

2021/04

2021年4月1日から税抜表示はNGへ。乗り遅れた人向けの対応リスト

2021年3月31日まではOKだったものの

消費税増税が行われる度に、レジの設定変更、値札の貼り換え作業や各表示の変更など、様々な対応に苦慮してきた事業主の方は多いはずです。「消費税が増税になった時の作業を少しでも減らしたい!」と、今まで自分の事業所で扱う商品・サービスの値段を「10,000円(税抜)」と表示してきた人も少なくないでしょう。これだと、消費税率が変わっても、少なくともこの表示は変更する必要がないためです。

そして、2021年3月31日までは、このような税抜表示も、誤認防止措置を講じた上で利用することができましたが、2021年4月1日からは認められなくなっています。
なお、2021年4月1日を過ぎた時点で税抜表示をしていたからといって、罰則が科せられるわけではありません。

ただし、消費者が勘違いを起こすような価格表示を意図的にしていたと判断された場合は「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」に違反する恐れもでてくるので、早急に対応するに越したことはないでしょう。

乗り遅れた人向けの対応リスト

「まずいな、うち何も対応していないや」という事業者の人には、この機会に何をするべきかを洗い出してほしいところです。

行うべき対応を3つに分けると1)対象となる商品・サービス、2)消費者の利便性を保つためのポイント、3)具体的な表記の仕方、の3つを理解することが挙げられます。

まず、1)についてですが、一言でまとめると「不特定多数の消費者に向けた価格表示」ということになります。
例えば、

・ 商品に貼付する値札
・ 商品パッケージなどへの印字
・ 商品陳列棚
・ 店頭のチラシ
・ ポスター
・ 商品カタログ
・ ダイレクトメールなどにより配布するチラシ
・ インターネットの販売ページ
・ 電子メールなどの媒体を利用した広告
・ テレビ・新聞の広告 

が該当します。なお、見積書・請求書・契約書・事業間取引における商品カタログなどは、不特定多数の消費者に向けたものではないため、対象とはなりません。

2)についてですが「消費者がはっきりと認識できるようにする」ことが大事です。たとえば

・ 店内のわかりやすいところにアナウンスを掲示する
・ 値札の文字をある程度は大きくする
・ POPを活用する

などが考えられます。

また、3)についてですが「支払総額となる税込価格がわかること」が最低条件です。
そのため、税抜で10,000円の商品・サービスであれば「11,000円」で構いません。
より親切に、ということであれば「10,000円(税込11,000円) 」「11,000円(税込)」などを使うといいでしょう。
     

2021/03

フリマアプリで得た利益は確定申告が必要なことも。注意点を解説

生活用物品の処分かどうかがカギ

新型コロナウイルス感染症が流行したことで、在宅している時間をどうやって過ごすかが話題となりました。家にいる時間が必然的に長くなる以上、片付けに取り組み「自分ではもう使わないけど、捨てるのは忍びない」ものを、フリマアプリで売ってみた人もいたはずです。
そして、沢山売ればそれなりに売上が入るので「もしかしたら税金を払わなくてはいけないのでは?」と気になった人もいたでしょう。

所得税法では、譲渡所得の対象とならない資産について規定がなされています。
生活用動産の譲渡による所得もその1つです。生活用動産とは「家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産」と規定されています。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm

つまり、フリマアプリでよく取引されている

 子どもが小さいときに使ったおもちゃ
 着なくなったけど状態のいい服
 使わなくなったけどまだ座れそうなソファ

など「これまでの生活で使っていたものを処分する取引」によって得た収益は、所得税の課税されない譲渡所得にあたるため、確定申告をする必要もないのです。

判断に迷う場合は税理士に相談を

しかし、家の中にあるのは生活用動産だけではありません。

今では手に入らないような昔のレコードや、芸能人のファンクラブ限定品など「今の自分にとっては不要だし、生活に必要ではないけど、欲しい人にとってはお金を払ってでも欲しいもの」も存在します。
また、現状は厳しいかもしれませんが、海外で衝動買いしたブランド品を、「自分は使わないけど、状態がいいから」と売ってしまうことだってあるはずです。

このような「生活に通常必要でない動産の譲渡」をフリマアプリを通じて行った場合は、所得税が課税されます。

本来、所得税は所得(=売上ー費用)に対して課税されますが、この金額が年間38万円超(会社勤めをして給料をもらっているなら20万円超)なら、確定申告をして納税しなくてはいけません。フリマアプリの場合、売上の合計から購入者への送料などの経費を差し引いた金額を目安として考えるといいでしょう。

なお、国税庁の調査によれば2019年7月から2020年6月末までの1年間で、フリマ等の通販サイトで起きた所得の申告漏れ額は6億3,030万円 、追徴税額は7,797万円にものぼりました。

参考:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2102/19/news045.html
 
本来は非課税であるものを課税であると誤解するならともかく、逆のパターンはかなり厄介です。判断に迷う場合は、自分だけで考えず、税理士に相談して、対応を仰ぎましょう。

2021/02

テレワークの諸費用は条件を満たせば非課税に。重要ポイントを解説

テレワークは通信費、電気代がかさむ

大手人材紹介会社・パーソル傘下のシンクタンク、パーソル総合研究所が行った調査によれば、2020年11月時点での日本全国における正社員のテレワーク実施率は24.7%とのことでした。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000455.000016451.html

一見、低い数字のように思えますが、従業員が1万人以上の企業では実施率は45.0%にも達しています。一方、100人未満の場合は13.1%に過ぎません。つまり、企業規模によっても足並みが異なる、というのが実情のようです。

そして、テレワークを行うことで、これまでには考えられなかった問題が浮上してきました。それは「自宅の通信費、電気代がかさむ」ということです。オフィスに出勤して仕事をしている場合は、オフィスに設置されているパソコンを使って仕事をするのが基本なので、通信費や電気代を従業員が自ら負担することはまずありえません。

しかし、テレワークになると、自宅に会社支給のパソコンを持ち帰り、自宅のインターネット回線を使って仕事するのが前提になります。つまり、通信費や電気代は自分で負担することになるため、家計にも少なからず影響が及ぶはずです。また、自宅に自分の部屋がないため、状況に応じてシェアオフィスに行き仕事をする羽目になる社員も一定数います。

このような実情を鑑み、在宅勤務手当などの名目で電気代、通信費の一部を支給する会社も出てきました。しかし、今までテレワークを採用している企業自体が少なかったためか、税務上の取扱いが整備されていなかったのも事実です。

在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)のポイントは?

国税庁は、テレワークにかかる費用の税務上の扱いをまとめ、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」として発表しました。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

ここでは、主要なポイントにのみ絞って解説しましょう。

まず、在宅勤務手当の扱いについてですが「毎月1万円を在宅勤務手当として支給する」など、一定額を渡しきることが前提で運用されている場合は、従業員に対する給与として課税しなくてはいけません。

一方「通信費、電気代、シェアオフィスの利用代金など、テレワークで発生する費用について、業務に使った分を計算して精算する」など、実費相当額を生産することを前提に運用されている場合は、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

なお、会社によってはテレワーク環境整備のために、従業員に対しオフィスデスクやチェア、事務用品などを提供するケースもあります。この場合、会社を退職したり、テレワークをしなくなったりした場合に返還義務がある場合は「貸与」とみなされるため、従業員に対する給与として課税する必要はありません。しかし、返還義務がない場合は、従業員に対する現物給与として扱われるので、課税する必要が出てきます。    


2021/01

イベントのチケットは、払い戻さず寄附するのも一案。控除を受けるための流れを解説

イベントの中止が相次いだからこそ

2020年を一言で表すと「いろいろなことが想定外」な一年だったといえるでしょう。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴い、これまでの生活が一変してしまいました。

もちろん、イベントにもその影響は及んでいます。本来だったら7月に開催するはずの東京オリンピックなど、様々なイベントが中止になったのです。スポーツ観戦が好きな方なら「チケットを買ったのに」と、悔しい思いをされたかもしれません。

本来、これらのイベントのチケットは、主催者から払戻しに関するアナウンスが行われ、それに従い返金処理を進めていきます。しかし「何となく寂しい」などの理由で、まだ手元にあるなら、いっそ払い戻さず、寄附するのも1つの方法です。

スポーツ庁は、2020年4月30日に「チケットの払戻請求権の放棄を寄附金控除の対象とする税制改正」を行いました。簡単にいうと、対象にとなるイベントのチケットを持っている人であれば、主催者に連絡し、所定の手続きを行うことで寄附金控除ができ、結果として所得税が安くなる制度です。

寄付金控除の適用を受けるには?

ここで、寄附金控除の適用を受けるための簡単な流れを説明しましょう。

まず、自分が持っているチケットが、この制度の対象となるイベントのものかどうかを確認します。なお、スポーツ庁のWebページで、対象となるイベントの一覧が公開されています。

https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/detail/jsa_00002.html?fbclid=IwAR0CunWddQYdpF7h8ofPR1DHbgMRAG2P8GuZxc_hc4AGsgSidcJWelRIeEQ

次に、主催者に払戻を受けない意思を連絡しましょう。その後、主催者から「指定行事証明書」「払戻請求権放棄証明書」が交付されます。これらの証明書を、確定申告を行う際に、添付書類として税務署に提出すればいいだけです。なお、イベントのチケットは、手元に保管しておきましょう。

また、既に払い戻しを受けていたとしても、主催者に払戻分を寄附する旨を連絡し、その後、実際に寄附をする形でも、この制度が利用できます。

スポーツイベントやエンタメイベントは、不要不急の用事ではないかもしれません。しかし、人の心を豊かにするためにはやはりなくてはならないものです。一日も早く新型コロナウイルス感染症が収束することを祈りつつ、今はできることを続けましょう。     

2020/12

新型コロナウイルス感染症は確定申告にも影響。最低限確認すべきポイントを解説

令和元年分の対応をまずはおさらいしよう

2020年に入り、中国で発生した新型コロナウイルス感染症は、日本を含めた世界中に波及しています。フランス、アメリカのように大規模な外出禁止令が敷かれたわけではありませんが、日本でも「外出しないこと」を前提にした対応が求められたのは事実です。

国税庁も例外ではなく「外出できなくても問題がないようにする」という方向で、調整を図っていました。例えば、令和元(2019)年の確定申告については

・ 本来の期限は令和2(2020)年3月16日であったところ、1カ月延長して4月16日にした
・ 4月17日以降であっても、税務署への申請により、確定申告書の提出を受け付けることにした

など、例年では考えられないほど、柔軟な対応がなされています。

また、申請についても、所定の書類や医師による診断書が必要になるわけではありませんでした。申告書を提出する際に、その余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」といった文言を付記すればいいだけです。なお、e-Taxを使っていた場合は、所定の欄にその旨を入力するだけでした。

「外に出ない」方法で対応しよう

令和2年度の確定申告についても、令和元年度と同じような対応がなされるのかは、まだわかりません。冬を迎え、新型コロナウイルス感染症の感染者がまた増加し始めている現状を考えると、あり得ない話ではありませんが、ここは国税庁の公式発表を待つしかないでしょう。

従来は、確定申告というと、税務署に書類を持参したり、銀行に出向いて振込をしたりなど「外に出て行う」のが基本の手続きでした。

しかし、今では

・ パソコンで申告書を作って郵送する
・ e-Taxを使う
・ インターネットバンキングやクレジットカードで納付する

など、外に全く出ないか、出たとしても家の近所のコンビニエンスストアだけで用が足りるほど、確定申告の手続きも便利になっています。このような方法を取り入れるのも、感染症対策の1つです。

まずは早めの相談を

確定申告との関係において、新型コロナウイルス感染症は災害の1つとして扱われています。そのため、本来は災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2カ月以内に申請を行わなくてはいけません。

つまり、確定申告書もこのタイミングで提出しないといけないのですが、提出すると同時に納税の義務が生じます。しかし、手元に資金がないなどの理由で納税することが厳しい場合は、早めに各国税局の国税局猶予相談センターに相談しましょう。     

2020/11

2020年1月1日から基礎控除は10万円アップ。それでも減税にならない人がいるのはなぜ?

2020年1月1日から基礎控除は10万円アップ

基礎控除とは、所得税や住民税の計算をするときに、所得(収入ー費用)から一律で差し引かれる金額のことをいいます。計算にあたって差し引かれるため、基礎控除の額が大きくなれば、結果として支払うべき税金も安くなるのです。

従来、この基礎控除は合計所得金額がいくらであったとしても、一律の金額(所得税の場合は38万円、住民税の場合は33万円)が適用されていました。しかし、2020年1月1日からは、合計金額が2,400万円以下であれば所得税は48万円、住民税は43万円の基礎控除が受けられるという決まりに変わったのです。

その一方で

・ 合計所得金額が2,400万円超2,450万円以下の場合は、所得税は32万円、住民税は29万円
・ 合計所得金額が2,450万円超2,500万円以下の場合は、所得税は16万円、住民税は15万円
・ 合計所得金額が2,500万円超の場合は適用なし

というように、所得金額が上がれば上がるほど、基礎控除は少なくなり、最終的にはゼロになるという改正がなされたのです。


基礎控除が上がったのに減税にならないのはなぜ?

既に触れたように、基礎控除は合計所得金額が2,400万円以下であれば引き下げられることになりました。これと同時に、給与所得控除額についても、以下のように変更がなされています。

給与等の収入金額:給与所得控除額

・ 1,625,000円:550,000円
・ 1,625,001円から1,800,000円まで:収入金額×40%-100,000円
・ 1,800,001円から3,600,000円まで:収入金額×30%+80,000円
・ 3,600,001円から6,600,000円まで:収入金額×20%+440,000円
・ 6,600,001円から8,500,000円まで:収入金額×10%+1,100,000円
・ 8,500,001円以上:1,950,000円(上限)

このうち、給与等の収入金額=年収が850万円以上のケースについて見てみましょう。
従来、年収が850万円超1,000万円以下の人については、給与所得控除額は「収入金額×10%+120万円」という式で計算されました。

例えば、年収が900万円だった場合、給与所得控除額は210万円(900万円×10%+120万円)となります。しかし、改正後は195万円にまで下がるのです。

給与所得控除額が下がるということは、差し引ける金額が少なくなるため、結果として支払うべき税金が増えます。基礎控除額が引き上げられたことで、一見すると減税されたようにも思えますが、実際のところは、増税になるケースもあることを覚えておくといいでしょう。     

2020/10     

知っていそうで知らないふるさと納税の基本を解説!

ふるさと納税とは

本来、税金は国か自分の住んでいるところ(都道府県、市区町村などの自治体)に対して納めるものです。しかし、ふるさと納税を行うことで、自分や家族の出身地、そのほかの縁がある場所に対して税金を納めることができます。ただし、名前に「納税」とあるものの、実態は寄付に近いと考えましょう。つまり、任意(自分が住んでいなくても可能)の自治体に寄附をし、その寄付金額を現在住んでいる自治体に対して申告を行い、寄附分を控除するという仕組みです。

ふるさと納税のメリットとしてはは、1)返礼品がもらえる、2)税金が控除(還付)される、3)寄付金の使い道を指定できる、の3つが挙げられます。まず、1)についてですが、肉・魚・米・お酒・お菓子などの食品やその地域の名産品はもちろん「お墓の掃除代行サービス」などのユニークなものを設けている自治体もあります。2)については既にふれた通りです。

また、3)については「若者の移住、定住、就業を応援する事業」「地震、台風などの災害からの復興」「高齢者福祉・児童福祉の充実」など、自治体によって様々な目的が設けられています。自分の考えに最も合う目的を掲げている自治体を選び、ふるさと納税を行うのも1つの考え方です。

確定申告とワンストップ特例制度の違いを知ろう

なお、実際にふるさと納税を行うには、いわゆるポータルサイトを利用し、オンラインショッピングをする際と同じような操作で手続きを行うのが一般的です。これ自体は何ら難しくありませんが、問題なのは「どうやって税金控除の手続きをするか」でしょう。確定申告をするのか、ワンストップ特例制度の適用を受けるのか、選択しなくてはいけません。

まず、フリーランスや経営者など、確定申告をするのが前提の職業であれば、確定申告の際に一緒に自治体から交付された寄付金受領証明書を、確定申告書類と一緒に提出しましょう。これにより、所得税からの還付と、住民税からの控除が受けられます。なお、この場合、寄付をした翌日の3月15日までに提出しなくてはいけません。

一方、サラリーマン、OLなど「どこかに勤めて給料をもらっている人=給与所得者」であれば、ワンストップ特例制度を使うのもいいでしょう。これは、寄付の都度、各自治体に申請書および本人証明書類を提出することで、住民税からふるさと納税による寄付額のうち、2,000円を超える部分を控除してもらえるという制度です。

ただし、この方法によった場合、1年間で寄付できる自治体は5つまでになります。また、申請書も寄付をした翌年の1月10日に必ず自治体に届いていないといけないので、年末にまとめてふるさと納税をした場合は間に合わないかもしれません。スケジュールには注意しましょう。    

2020/09

テレワーク導入には中小企業強化税制も活用可能。専門家と相談し、利用を検討すべき

新型コロナはテレワーク導入の追い風になるか 

業種や企業の風土にもよりますが、日本は諸外国に比べると比較的「出社して顔を突き合わせて仕事をすること」に重きが置かれている文化です。そのため、今までテレワーク(在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務など)の導入はあまり進んできませんでした。総務省の平成29年通信利用動向調査によると、日本企業におけるテレワークの導入率は13.9%でした。
そのうち、在宅勤務の導入率は29.9%、モバイルワークの導入率は56.4%、サテライトオフィスの導入率は12.1%と、モバイルワーク以外のテレワークを導入している会社は、ごくわずかだったのです。

参照:総務省|平成30年版 情報通信白書|広がるテレワーク利用
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144310.html#:~:text=%E7%B7%8F%E5%8B%99%E7%9C%81%E3%81%AE%E5%B9%B3%E6%88%9029,%E3%81%AF12.1%EF%BC%85%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

しかし、2020年に入り、日本を含めた全世界で新型コロナウイルス感染症が流行したことから、従業員の感染防止の名目で、在宅勤務を中心にしたテレワークの導入に踏み切る企業が出てきました。
それでも、実際にテレワークを実施した会社は、全体の3割にも満たなかったのです。

出典:緊急事態宣言の発令後、テレワーク実施27% 民間調査、「通常出勤」53% :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58375660S0A420C2TJ1000/

中小企業強化税制が改正され、テレワークの導入にも活用可能に

テレワークを導入しない理由として

顧客情報を扱うなど、機密保持が求められるのでテレワークへの移行が難しい
社内に導入に対応できる人材がいない
テレワークの導入は検討しているが、予算の面で折り合いがつかない
そもそも、販売、サービス業など「テレワーク」という概念が存在しない業種である

などが考えられます。最後のケースの場合は、さすがに導入のしようがありません。しかし、他の3つのケースのように、セキュリティ、人材、予算の面で折り合いがつく見込みがあるなら、テレワークを導入し、従業員や取引先の感染拡大防止に努めるのも、企業が果たすべき社会的責任の1つでしょう。

そこで活用してほしいのが、中小企業強化税制です。これは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)が選択適用できる制度ですが、従来から対象となっていた生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)に加え、デジタル化設備(C類型)も対象となりました。つまり、テレワークの導入のために必要なシステムの整備を行うと、即時償却または取得価格の10%(または7%)の税額控除が受けられるということです。

実際にテレワークを導入し、中小企業強化税制の適用を受けるには、システム会社や税理士と連携し、自社に合った形で進めていく必要があります。「うちもテレワークを導入しよう」と思ったら、まずは相談してみましょう。

参照:中小企業庁:テレワーク等を促進するために中小企業経営強化税制が拡充されました
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501kyoka.html

 2020/08    

人がずっと住んでいない空家は要注意。空家の固定資産税について解説

空家にかかる税金は?

一戸建て、マンション、土地などの不動産を所有していると、固定資産税や都市計画税がかかります。そして、この2つの税金はその年の1月1日時点の所有者が支払わなくてはいけません。たとえ「今、住んでいない」空家であったとしても、支払い義務を免れることはないので注意しましょう。

また、固定資産税や都市計画税には「住宅用地の特例」という制度があります。人が生きていく上で、家は必要不可欠なものです。当然、住んでいる家にも固定資産税や都市計画税はかかりますが「生きていくのに必要なものだから」という意味もあり、人が住むための住宅については、固定資産税・都市計画税が安くなります。

より正確にいうと、住宅用地に対する固定資産税は最大で1/6、都市計画税は1/3まで減額されますが、平成26年度まではすべての住宅について適用が受けられました。しかし、平成27年度からは特定空家等への適用がなくなったのです。

特定空家とは

2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」で、特定空家について以下のように定義されています。

「特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう」

つまり、簡単にいうと「管理が行き届いておらず、人が到底住めそうにないボロボロの空家」と考えましょう。平成26年まではどんなに状態の悪い空家であっても、建っている限りは住宅用地の特例の適用が受けられました。しかし、平成27年以降は、特定空家に指定されてしまった場合は、特例の適用が受けられません。

もちろん、特定空家といっても、状態は様々です。植え込みを刈り取ったり、ドアを修理したりするなど必要な処置を行えば、特定空家の指定が取り消されることもあります。取り消されればもちろん、住宅用地の特例を受けることは可能です。

また、必要な処置を行う予定なら、できれば特定空家に指定されたのと同じ年のうちに対応を済ませましょう。特定空家の認定の取消が翌年の1月2日以降にずれこむと、翌年分の固定資産税と都市計画税は高い税率が適用されてしまうので、気を付けてください。     

     

2020/07

マイナンバーカードを使って25%還元!マイナポイントを徹底解説

本来は東京オリンピックのあとの景気刺激策だった

2020年9月から、マイナポイント事業が開始されます。これは本来は、2020年6月に終了するキャッシュレス・消費者還元事業や2020年7月に開催されるはずだった東京オリンピックの終了後の景気刺激策として考えられていたものです。しかし、2020年2月ころから全世界で流行し始めた新型コロナ感染症の影響により、東京オリンピックは延期されました。
 「東京オリンピック終了後の景気刺激策」という本来の目的からは外れてしまいましたが、別の意味でマイナポイントには注目すべき点があります。1)マイナンバーカードの所持率の向上、2)キャッシュレス決済への関心、の2点です。
 まず、1)についてですが、2020年4月時点でのマイナンバーカードの所持率は16%にとどまっています。制度開始(2016年)から約4年たつにも関わらず、このような低い水準にとどまっている理由の1つには「マイナンバーカードを持つ具体的なメリットがわかりにくい」ことがあるでしょう。そのため、具体的なメリットを打ち出す施策の1つとして、マイナポイント事業がとらえられるはずです。
 また、2)についてですが、キャッシュレス決済は現金を触らずに、店員とのやり取りも最低限にして決済ができる方法です。そのため、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い厚生労働省が発表した「新しい生活様式」においても、キャッシュレス決済の利用は推奨されています。

マイナポイントに参加するには?

実際にマイナポイントに参加するためには、どうすればいいかを解説しましょう。まずは、マイナンバーカードとスマートフォンを用意します。スマートフォンに専用のアプリをインストールし、マイナンバーカードを読み取らせたあと、パスワードを入力すれば完了です。この手続きを「マイナポイントの予約」といいます。なお、各市区町村の対応窓口やケータイキャリアショップ、コンビニのマルチメディア端末でも手続きができるので、自分でできそうにない人は活用しましょう。
 次に、2020年7月に入ると、マイナポイントの予約が開始されます。アプリからマイナポイントの公式サイトにアクセスし、自分が利用したいキャッシュレス決済サービスを1つ選びましょう。そして、2020年9月に入ると、マイナポイントを決済サービスで利用できるようになります。選んだ決済サービスにチャージしたり、支払いを行ったりすると、利用額の25%のポイント、残高が付与される仕組みです。なお、マイナポイント事業は2021年3月31日まで実施されますが、この間に付与されるポイント、残高の上限は5,000円までとなっています。     

2020/06

「パナマ文書」がなぜ大騒ぎ?タックスヘイブンの問題点を解説

数年前「パナマ文書」という言葉が、日本を含め世界のニュースになりました。簡単に言うと、パナマの法律事務所が作成した世界の企業や個人によるタックスヘイブン(租税回避地)の利用実態が記載された文書です。しかし、この文書がきっかけで、当時のアイスランドのグンロイグソン首相は辞任に追い込まれるなど、各国で富裕層の租税回避を追及する動きが加速しました。今回は、タックスヘイブンについて、改めて振り返ってみましょう。

なぜ、企業や富裕層はタックスヘイブンを使うの?

タックスヘイブンとは、国際金融取引を円滑に行うため、法人税などの税金の一部が完全に免除される国や地域のことを指します。日本語では租税回避地と言います。有名なところでは、パナマ、バージン諸島、ナウルなどがこれにあたるでしょう。
タックスヘイブンを租税回避のために使う仕組みは、簡単に言うと「タックスヘイブンに会社を設立し、その会社を通じて税務申告を行えば、法人税などの税金がただになる」ということです。
会社を設立するといっても、現地に事務所を置くわけではなく、専用の私書箱を置いて済ませ、その管理も代行業者に任せる場合がほとんどでしょう。まさに「租税回避だけのためにタックスヘイブンに実体のない会社=ペーパーカンパニーを設立する」と言って過言ではありません。
つまり、企業や富裕層は、毎年支払う税金を節約するために、タックスヘイブンを使って租税回避を行う場合もあると考えましょう。

タックスヘイブンの何が問題なの?

そもそも、タックスヘイブンができたのは「世界中から企業に進出してもらうため」でした。パナマ、ケイマン諸島、ナウルなどタックスヘイブンとして知られる国・地域は、もともと「産業や資源のない国」である場合が多いです。そのような地域で産業を盛り立てるためには、海外の企業に自分たちの国・地域でビジネスをしてもらうしかありません。そのための方法の一環として、税金を免除し、海外の企業が進出しやすくしたのです。
しかし、海外の企業が進出しやすくなった一方、別の弊害が生まれました。マネーロンダリングに悪用されるようになったのです。マネーロンダリング(資金洗浄)とは「麻薬・覚醒剤の密売、詐欺など犯罪行為により稼得した資金を架空または他人名義の金融機関口座などを利用し、転々と送金を繰り返したり、株や債券を購入したりするなどして資金の出所をわからなくする」ことをいいます。
タックスヘイブンに設立されたペーパーカンパニーに関しては、情報が開示されてない場合がほとんどです。そのため、司法当局の監視もかいくぐりやすいことから、マネーロンダリングに悪用されているのが実情でしょう。
もちろん、タックスヘイブン自体は違法なものではありません。また、日本も含めた世界各国の企業・富裕層が使う分にも、自国で正しく納税さえしていれば何ら問題はありません。
ただし、情報が開示されておらず、犯罪の温床にもなりやすいことから、タックスヘイブンに指定されている地域の監視は注意深く行っていく必要があります。

2020/05   

キャッシュレス還元終了後はキャッシュレスを続けるべき?続けるメリットとデメリットをまとめてみた

2019年10月から始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」。これは本来、2020年6月までの期間限定の事業でした。しかし、この事業が導入されることをきっかけに、今まで現金決済しかできなかったお店や会社(=事業所)にも、キャッシュレス決済ができる機材が導入されるのは珍しくなくなりました。

そこで「キャッシュレス・消費者還元事業が終了した後はキャッシュレスを続けるべき?」という疑問に対し、続けるメリットとデメリットを踏まえた上で、考えてみましょう。

1.キャッシュレスを続けるメリット

最初に、キャッシュレスを続けるメリットとして1)機会損失を減らす、2)衛生上の観点からも歓迎される、の2点を解説します。

1-1.機会損失を減らす

キャッシュレス決済のメリットとして「手持ちの現金がなくても支払いができる」ことが挙げられます。そのため、防犯上の観点から高額の商品をキャッシュレス決済で購入する人は少なくありません。また、通信販売など対面取引を伴わない場合も、銀行口座への振込に比べて手数料や手間がかからないことから、キャッシュレス決済を選択する人は多いです。それにも関わらず、現金決済以外受け付けていないとすると「あのお店は現金しか受け付けてくれないから」と、避けられる要因になりかねません。「キャッシュレス決済ができないためお客さんを取りこぼす」という機会損失を避ける意味で、キャッシュレス決済の導入は有効でしょう。

1-2.衛生上の観点からも歓迎される

2020年に入って世界的に大流行している新型コロナウイルスによる感染症は、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。その中の1つが「現金を素手で取り扱うことのリスク」です。大手都市銀行の支店で現金の集計を伴う業務に従事していた行員が新型コロナウイルスに感染したという報道がなされたことで、「現金を扱うこと」に対し、心理的な抵抗を覚える人が出てきたのも事実でしょう。このため、今まで支払いに現金を使っていた人でも、クレジットカードなどのキャッシュレス決済に切り替えているのは珍しくありません。キャッシュレス決済の機会を保つことは、衛生上の観点からも歓迎されるでしょう。

2.キャッシュレス決済のデメリット

一方、現状においてキャッシュレス決済を導入している事業者にとってのキャッシュレス決済のデメリットとして挙げられるのが「手数料の高さ」です。この点についても解説しましょう。

2-1.手数料負担と便利さはトレードオフ

利用しているキャッシュレス決済業者によっても差はありますが、キャッシュレス決済を利用していくには、毎月所定の手数料を支払わないといけません。つまり、その分利益が減ることになるので、資金が潤沢でない中小事業者にとっては、毎月の手数料負担にどれだけ耐えられるかが、キャッシュレス決済を続けるかどうかの判断の分かれ目になります。裏を返せば、キャッシュレス決済を導入したら売上が劇的に上がったなど、目に見えた効果がない場合は、手数料負担も考えて取りやめるのも1つの選択肢になり得るでしょう。

2020/04     

相続は税理士に相談して進めるのがベストな3つの理由

相続税の申告は自分でもできるけど

大切な人を見送った後にやらなくてはいけないことは、実はかなり多いです。もちろん、相続税の申告も、その中に含まれるでしょう。
正直なところ、相続税の申告=相続税をいくら支払わなくてはいけないか計算し、期限までに書類を出して、実際に納めるべき金額を払うこと自体は、税理士に頼まなくてもできます。しかし、実際は税理士に頼んだ方が、自分でやることを大幅に減らせるうえに、後々トラブルにもなりにくいのです。そこで今回は「相続は税理士に相談して進めるべき」理由について解説します。

理由1.税務調査の対象になりにくい

相続税の申告書には「作成税理士の事務所所在地・署名押印・電話番号」の記入欄があります。つまり、申告書の作成を依頼した税理士の情報がここに書き込まれるわけです。
そのため、この欄に何も書かれていないと「税理士が関与していないから、情報が間違っているかもしれない」という疑念を税務署に与えます。当然、税務調査の対象にもなりやすいので何かと面倒です。

理由2.添付書類が揃わないこともある

相続税には「配偶者控除」「小規模宅地の特例」など、結果として相続税として支払うべき金額を低くできる控除・特例がたくさん設けられています。しかし、これらの控除・特例を使うためには、必要な書類を漏れなくそろえ、申告書と一緒に提出しなくてはいけません。
ほとんどの人にとっては「どんな書類をいつまでにそろえなくてはいけないか」をすべて把握するのは至難の業です。結果として、控除・特例を使うことができずに、相続税として支払うべき金額が膨れ上がってしまうという事態に発展するのも考えられます。

理由3.時間の節約になる

相続税の申告期限は「相続が開始してから10か月後」です。期限に1日でも遅れると、延滞税や無申告加算税と言って「遅れたことに対するペナルティ」がかかります。
相続に対する知識があるならまだしも、まったく初めての場合は、何をすればいいかわからないはずです。
しかも、相続以外にもやらなくてはいけないことがたくさんある状態でトラブルなく進めるのはまず不可能でしょう。トラブルなく進めるためにも、税理士に相談する方が無難です。

相続に強い税理士を選ぼう

そして、最後に重要なことを1つお伝えします。税理士は税理士でも「相続に強い税理士」を選ぶのがコツです。税理士によっても、得意な分野と不得意な分野は明らかにあります。。中には、相続の案件をほとんど手がけたことがない人もいるのです。
ご家族やお友達からの紹介であれば確実ですが、つてがない場合は、地域の税理士会に相談するなどして探してみましょう。     

2020/03

税務調査=脱税ではありません。本当のところを解説します

あの映画が思い浮かぶ人もいるはず

いきなりですが、あなたは「税務調査」と聞いて、どんな絵を思い浮かべますか?スーツの人がたくさんやってきて、ゴミを調べたり、朝から聞き込みをしたり、床の下に隠していた金塊を取り出したり……それは、映画の見過ぎです。
故・伊丹十三氏が監督した「マルサの女」という映画があります。この映画は税務調査を描いたものですが、正確には強制調査(査察調査)といって、巨額で悪質な脱税を摘発するために行うものです。強制調査により脱税が確定されれば、検察庁に告発され、刑事事件として処理されます。つまり「脱税で逮捕される=強制調査の結果、脱税が確定される」と考えていいでしょう。
そして、強制調査を行う部署として、国税庁には査察部が設けられています。査察部の通称が「マルサ」と呼ばれているので、「査察部=マルサで働く女性の話」を意味するタイトルがつけられました。
なお、国税庁のホームページによれば、平成30年度の査察事案として告発が行われた事案は121件だったとのことです。このうち、重点事案として告発された=大規模な脱税として告発された件数は、消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件とのことでした。また、告発された事案にかかる脱税分は112億円にのぼります。

基本は「任意調査」。任意だけど断れないので注意

データから見ても、ほとんどの人には強制調査は縁がないと考えていいでしょう。しかし、後ろ暗いことをしていなくても、税務調査は行われるのです。
任意調査といって、犯罪を前提にしないで行う税務調査がこれに当たります。「任意ということは、答えたくなければ答えないでいいのでは?」と思うかもしれませんが、そうでもありません。
たしかに、任意調査は、納税者の同意を得て行うのが前提です。しかし、税務署員には「質問検査権」があります。つまり、必要に応じて調査対象者の事業に関する書類の検査・提示・提出を求めることができるのです。
結論から言うと、任意調査であっても、基本的に断れないものと考えてください。
実際には、税務調査を行う場合は、事前に所轄の税務署から税務調査を行う旨および日程が通知されます。その日程で都合がつかない場合は、変更を申し出ることもできるので大丈夫です。
連絡があった時点で顧問税理士に連絡し、準備すべきものや当日の流れを相談しましょう。しかし、顧問税理士自体がいない場合は、新たに税理士にサポートしてもらうよう頼むのをお勧めします。税務調査まで時間がなくても、スポット契約の形で税務調査に立ち会ってくれる税理士も中にはいるので、あきらめずに探すことが必要です。
     

2020/02     

確定申告を1からわかりやすく解説。期限厳守の本当の理由は?

確定申告とは?

(所得税の)確定申告とは、前年の1年間の収入・支出からその人が払わなくてはいけない税金(所得税)を計算し、税務署に伝えた上で実際に払うことです。会社などに勤めて、給料をもらっている人(給与所得者)であれば、給料から税金が天引きされている(源泉徴収)されているので、例外にあてはまらない限りは、確定申告をする必要がありません。
 一方、自分でビジネスをしている人(個人事業主)は、会社がやってくれるわけではないので、確定申告を必ず行うことになります。また、サラリーマンであっても、以下の条件にあてはまる場合は確定申告が必須となるので、忘れないようにしましょう。
 
 給与収入が2,000万円を超える人
 収入源が複数ある人(給与収入が1か所でそれ以外の所得が20万円以上ある人)
 2つ以上の会社より給与を得ていて、年末調整されていない給与収入と給与及び退職所得以外の所得合計が20万以上の人
 会社で年末調整をしていない人
 年末調整では清算できない控除がある人(医療費控除、住宅取得控除)
 住宅ローン控除を初めて受ける人(2回目以降は年末調整で可能)
 確定申告でしか清算できない収入がある人(事業所得、株式、退職金、年金など)

期限厳守の本当の理由は?

確定申告において、非常に重要になるのが期限を守ることです。所得税の場合、確定申告の期限は毎年2月中旬から3月中旬までとなっています。なお、2020年の場合は2月17日から3月16日までです3月16日までに手続きが完了すればさほど問題はありませんが、万が一遅れた場合、「期限後申告」として扱われます。ペナルティとして「無申告加算税」と「延滞税」を上乗せして払うことになるので、気を付けましょう。
無申告加算税とは「期限通りに申告手続きを終わらせなかった」ことに対する罰金としての税金です。税務署の指摘を受けるまえに自主的に期限後申告した場合は本来納税すべき金額に対して5%が上乗せされます。また、税務署の指摘のあとで期限後申告した場合は、納税額のうち50万円までは10%、50万円を超える部分は15%が上乗せされるので注意しましょう。ただし、以下の条件に当てはまれば、無申告加算税は課されません。

 申告期限後1ヵ月以内に自主的に申告している
 直近5年間に期限後申告がない
 確定申告の期限内(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)に納税は済ませている

延滞税とは「期限通りに納めるべき税金を納められなかった」ことに対する罰金としての税金です。クレジットカードの支払いなどの債務の返済が期日通りになされなかった場合の遅延損害金をイメージするとわかりやすいでしょう。
なお、延滞税をいくら支払わなければいけないかは、国税庁のホームページからシミュレーションできます。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai.htm

いずれにしても、期限に遅れるのはマイナスでしかないので、早めに準備をし、余裕を持って確定申告を終わらせるようにしましょう。自分じゃできそうにない、と思った時点で税理士などの専門家に協力を仰ぐのも効果的です。

     

2020/01

「スマートフォンで確定申告」

2020年からスマートフォンでも確定申告が可能に。利用できる人の条件は?

利用対象者がさらに拡大!

所得税の確定申告において、電子申告=e-Taxはすっかりおなじみになりました。しかし、従来のe-Taxには、1)パソコンから手続きを進めないといけない、2)カードリーダーライターを買って設定を済ませなければいけない、など、パソコンに不慣れな人の場合はかなり難しいものだったのも事実です。
そこで、2019年1月4日から国税庁は「確定申告書作成コーナー」にスマートフォン専用の画面を設定したほか、カードリーダライタ―がなくても利用できるよう、あらたに「ID・パスワード形式」を提供し始めしました。これにより、かなりe-Taxの利用のハードルが下がりましたが、まだ問題があったのです。
平成30(2019)年分の利用対象者は、次の条件に当てはまる人だけが、スマートフォン専用画面を使えました。

・ 収入:給与所得(年末調整済1か所)
・ 所得控除:医療費控除、寄附金控除
・ 税額控除:政党等寄附金等特別控除

一方、令和2(2020)年分の利用対象者は、ここまで広がっています。

・ 収入:給与所得(年末調整済1か所、年末調整未済、2か所以上に対応)公的年金等、その他雑所得、一時所得
・ 所得控除:すべての所得控除
・ 税額控除:政党等寄附金等特別控除、災害減免額
・ その他の項目:予定納税額、本年分で差し引く繰越損失額、財産債務調書(案内のみ)

ただし、拡大された利用対象者の中に、事業所得・不動産所得・譲渡所得を得ている人は含まれていません。副業をしているサラリーマンの方は、従来通りパソコンから確定申告を済ませないといけないので、注意しましょう。

カードリーダライタなしでe-Taxを使うには?

従来のe-Taxは、マイナンバーカードとICカードリーダライタを購入し、必要な設定を済ませないと進められませんでした。
しかし、平成30(2019)年から、ID・パスワード方式も採用されています。税務署で発行される「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されたe-Tax用のID・パスワードを使う方法です。ID・パスワードを発行してもらうためには、本人確認書類を持って、住所地を管轄する税務署に行きましょう。
ただし、国税庁によれば、あくまでマイナンバーカードおよびICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な措置であるとのことです。これからもe-Taxを使い続けていく予定があるなら、ICカードリーダライタを購入してもいいかもしれません。オンラインショッピングや家電量販店で2,000円台で購入できます。
     

2019/12

人事・総務担当者必読!2019年から2020年にかけて、年末調整の書類はこう変わります

年末調整の時期も近づいてきたけど……

ハロウィンが終わり、街中の飾りがクリスマス一色になってくる頃には、人事・総務の担当者の人にとっての一大イベントが待ち構えています。それが、年末調整です。
会社勤めの人(給与所得者)の給与やボーナス(賞与)については、あらかじめ所得税を差し引かれた(源泉徴収された)形で、受け取ります。しかし、「生命保険をかけている」「住宅ローンを払った」「子どもが多いので生活費がかかる」などの理由で、実際に支払うべき税金より多く差し引いていたことも考えられるのです。そのため、必要な書類を提出してもらった上で本来支払うべき税金を計算し、差額を払い戻す(還付する)仕組みとして、年末調整が取り入れられています。
今回は、年末調整の書類についての変更点をいくつか解説しましょう。

2019年の年末調整の書類に関する変更点

2019年の年末調整の書類に関する変更点として、1)元号表記の変更、2)住宅ローン控除申告書の記載事項変更、の2点を抑えておきましょう。
まず、1)についてですが、2019年5月1日に皇位継承が行われたことにより、平成から令和へ元号が変わりました。そのため、総務省が公表している控除申告書や給与支払報告書の様式においても、元号は令和に改められています。しかし、扶養控除等(異動)申告書では、2019年5月1日以降を表す元号として「平成」が使われているのです。これは、扶養控除等(異動)申告書がその年の最初の給料を受け取るまでに提出する書類であることが関係しています。なお、西暦も併記されているので、無理に元号を令和に直す必要はありません。

次に、2)は、住宅ローン控除を受ける人が勤務先に提出する「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」についての変更です。平成31年(2019年)4月1日以降に提出される申告書では、以下の項目については提出者が記載する必要がなくなりました。

・ 住宅の取得年月日・居住開始年月日
・ 取得対価・費用の額
・ 床面積(特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けている場合)
・ 2%の控除率の対象となる工事費用の額

記載をしない代わりに、企業側の人事・総務担当者は、税務署から発行された控除証明書に記載された金額を確認し、手続きを進めることになります。

2020年の扶養控除等(異動)申告書の変更点

また、2019年分の年末調整を行う際に、ついでに2020年分の扶養控除等(異動)申告書の提出を求める場合もあるでしょう。関連する知識として、1)各種控除における所得の見積額の条件、2)単身児童扶養者の記載事項追加、の2つの変更点についても押さえておきましょう。

1)についてですが、扶養控除等(異動)申告書で申告する各種の控除について、所得の条件に関する金額が、2020年から以下の通り変更されます。

・ 源泉控除対象配偶者に関する控除:95万円以下(改正前:85万円以下)
・ 扶養控除/寡婦(寡夫)控除:48万円以下(改正前:38万円以下)
・ 勤労学生控除:75万円以下(改正前:65万円)

2)についてですが、扶養控除等(異動)申告書から、住民税に関する事項として「単身児童扶養者」欄が追加されました。つまり、申告書の提出者が単身児童扶養者であった場合は、児童扶養手当の証書番号や同一生計内すべての児童の氏名・所得見積額を記載しなくてはいけません。なお、単身児童扶養者とは、児童扶養手当を受けている未婚のひとり親(シングルマザー・ファーザー)で、対象児童の総所得金額等が48万円以下の人を指します。

まとめ

年末調整に関連する書類の変更点として、主要なものを紹介しました。元号は比較的わかりやすいはずですが、それ以外はわかりにくいかもしれないので、事前にしっかり確認しておきましょう。     

2019/11

マイホームを買った人必見!住宅ローン控除を受けるには?

「実は今年、マイホームを買った」という人は、あなたの周りにいませんか?もしくはあなた自身がそうかもしれなかったら、住宅ローン控除が受けられるかどうか、確認しましょう。
状況次第では、支払うべき税金をかなり安くできるかもしれません。そこで今回は、住宅ローン控除(減税)について説明します。

1.住宅ローン控除(減税)とは?

最初に、住宅ローンがそもそも何かについて説明しましょう。

1-1.住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除(減税)を簡単に言うと、「マイホームを買うために住宅ローンを組んだ場合、一定の割合に相当する金額が所得税から控除される(=差し引かれる)制度」のことです。マイホームを買おうとする人の経済的な負担を和らげる効果があります。


2.住宅ローン控除を受けられるのはどんな時?

それでは、どんな時に住宅ローン減税を受けられるのでしょうか?

・ 建物に関する条件
・ ローンの種類に関する条件

から考えてみましょう。

2-1.建物に関する条件

まず、大前提として理解してほしいのが、「住宅ローン控除は、実際に住む家を手に入れるのが前提の制度である」という点です。詳しくは後述しますが、「完成したら6か月以内に住み始めなければいけない」など、適用を受けられる条件が細かく決まっています。
これから家を建てる、という人は、引っ越しのスケジュールもそれに合わせて決めなければいけないので、しっかりチェックしましょう。

2-2.新築の場合

以下の条件を満たす必要があります。

・ 新築もしくは取得日から6か月以内に入居している
・ 借り入れした人の合計所得金額が3000万円以下である
・ ローンの返済期間が10年以上
・ 登記簿に記載されている床面積が50平米以上である
・ 床面積の1/2以上が自分の居住用である

最後の床面積については、「経営者、フリーランスなので、仕事場兼自宅を建てる」という場合に、特に注意しましょう。

2-3.中古の場合

新築の場合の条件に加え、以下の条件を満たす必要があります。

・ マンションなどの耐火建築物は、取得の時点で築25年以内である
・ 耐火建築物以外は取得の時点で築20年以内であるもしくは一定の耐震基準をクリアしている
・ 生計を一にする親族などからの購入ではない
・ 贈与された住宅ではない

2-4.増築・リフォームの場合
新しく家を買うのではなく、増築・リフォームをするためにローンを組む場合も、住宅ローン控除は使えます。ただし、新築住宅の時の条件に加えて、以下の条件を満たすことが必要です。

・ 自分で所有かつ居住する住宅について行う
・ 一定の条件を満たす省エネ・バリアフリー・耐震リフォームもしくは大規模な間取り変更・修繕である
・ 工事費用が100万円超
・ 店舗併用住宅等の場合、居住用部分のリフォーム費用が1/2以上

3.住宅ローン減税を受けるための手続きは?

条件を満たす場合であっても、実際に住宅ローン控除を受けるためには、確定申告を行わなくてはいけません。入居した年の翌年1月1日から手続きができるので、早めに済ませましょう。その際に必要になる書類は、以下の通りです。

3-1.必要書類リスト
以下のものを過不足なくそろえましょう。・ 確定申告書A(第一表と第二表)や(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書については、最寄りの税務署の窓口に行けばもらえます。もちろん、国税庁のホームページからダウンロードも可能です。

・ 確定申告書A(第一表と第二表)
・ (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・ 勤務先の源泉徴収票
・ 金融機関等からの住宅ローンの借入金残高証明書
・ 土地・建物の登記簿謄本
・ 売買契約書または建築請負契約書のコピー
・ マイナンバーの本人確認書類
・ その他、認定長期優良住宅の特例などを利用する場合の書類のコピー

なお、確定申告自体は郵送でも受け付けてくれるので、時間がない人は活用しましょう。     

2019/10

小規模宅地等の特例とは?知っておきたいポイントを解説します

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、簡単に言うと、「一定の条件を当てはまる土地について、相続税評価額を最大80%減額できる制度」のことです。この制度を使えば、相続税を大幅に減額できる可能性があるので、「実家の土地を相続する予定で……」という人は、必ずチェックしておきましょう。

小規模宅地の特例の対象になるのはどんな土地?

もちろん、どんな土地でもこの制度の適用を受けられるわけではありません、次の3つが、この特例の適用を受けられます。

 特定居住用宅地等:住宅として使われていた土地を指します。「実家の親が住んでいた家と土地」はこれにあたると考えましょう。
 特定事業用宅地等:事業を営むために使われていた土地のことです。「実家の親が営んでいた八百屋の建物」はこれにあたります。
 貸付事業用宅地等:第三者に貸したり、その上に賃貸アパートを建てていたなど、貸付を目的として使われていた土地です。「実は実家がアパートを貸していた」などは、これにあたります。

特例の適用を受けるための条件は?

もちろん、特例の対象となる土地であっても、実際に制度の適用を受けるためには、さらに細かい条件があります。それぞれの種類について、条件を説明しましょう。

特定居住用宅地等の場合

故人=亡くなった人や生計を一にしていた親族=一緒に生活していた親族が住んでいた土地を、配偶者が相続する場合は、この特例の適用が受けられます。また、同居していた親族や、生計を一にしていた親族が土地を相続し、そこに住み続ける場合も大丈夫です。なお、相続税の評価額について、この特例の適用を受けられる限度面積は330㎡までで、減額率は80%です。

特定事業用宅地等の場合

相続開始3年前よりも以前からその土地で事業を営んでいて、相続人が相続税の申告期限まで事業を継続していることが必要です。つまり、「亡くなった人がやっていた商売を続けることが条件」と考えましょう。なお、相続税の評価額について、この特例の適用を受けられる限度面積は、400㎡までで、減額率は80%までです。

貸付事業用宅地等の場合

相続開始前からその土地で不動産貸付業を営んでいて、相続人が相続税の申告期限まで不動産貸付業を継続していれば、適用を受けられます。簡単に言うと、「亡くなった後も、アパート経営などを続ける」と考えましょう。なお、相続税の評価額について、この特例の適用を受けられる限度面積は、200㎡までで、減額率は50%までです。

小規模宅地等の特例の注意点

最後に、小規模宅地等の特例について、注意点を2つ紹介しましょう。既に触れた通り、この制度は、「個人が住んでいた、使っていた土地に住み続ける、使い続ける」ことが前提の制度です。仮に、亡くなった人=故人が老人ホームに入居していた場合は、従来はこの制度の適用が受けられませんでした。しかし、平成25年の税制改正により、一定の要件を満たせば、特例の適用を受けられるように変更されています。また、相続時精算課税制度を利用して土地の贈与をしていた場合、小規模宅地等の特例の適用は受けられません。相続時精算課税制度を使う場合は、この点にも注意して検討しましょう。

2019/09

2019年10月からついに消費税率が10%に!史上初の2つの取り組みを紹介します

8%から10%の裏には……

これを読んでいる方の多くがご存知のように、2019年10月1日から消費税の税率が、8%から10%にアップします。消費税が導入された当初の税率が3%だったことを考えると、10%はやはり高い税率に感じるかもしれません。詳しくは後述しますが、消費への影響も懸念されています。
また、今回の消費税率の引き上げにあたり、日本ではこれまで実施してこなかった以下の2つの取り組みが導入されます。

・ 軽減税率の導入 
・ キャッシュレス・消費者還元事業

今回は、この2つの取り組みについて、改めておさらいしましょう。

軽減税率とは?

簡単に言うと、食料品など、一定の条件にあてはまる生活必需品に対しては、通常の税率より低い税率を適用することです。低所得者への配慮として、フランス・イギリスなど、世界の一部の国で導入されています。

なお、日本の場合は、

・ 飲食料品
・ 週2回以上発行されている新聞

については、税率が8%のままになるということです。

ここで、わかりづらいケースを2つほど紹介しましょう。

1)ノンアルコールビールと普通のビール

ノンアルコールビールは、アルコール分1%未満であるため、「飲食料品」として扱われます。なので、軽減税率の対象です。一方、普通のビールは「酒類」として扱われるため、軽減税率の対象とはなりません。

2)新聞の電子版

週2回以上発行されている新聞であっても、紙・電子版のどちらを選ぶかで、適用される税率は変わります。今回の軽減税率で想定している新聞は、紙で発行されているものであるため、電子版の場合は、軽減税率の対象とはなりません。つまり、同じ新聞を読むのに、紙・電子版のどちらを選ぶかで、支払う消費税額も違ってくるのです。
 
このように、一見、同じように見える取引であっても、適用される税率が違ってくるのが、軽減税率においては大きなポイントになります。軽減税率の対象となる品目を扱う事業を行っている事業主の方は、レジシステムの見直し、従業員への教育等も含め、必要な対応の進捗を今一度確認しましょう。

キャッシュレス・消費者還元事業

もう1つの施策として注目されているのが、キャッシュレス・消費者還元事業です。

簡単に言うと、

・ 所定の条件を満たす中小・小規模事業者が営む店舗で
・ クレジットカード、電子マネー、バーコード決済等の決済手段で買い物をすると
・ 購入額の5%もしくは2%がポイント還元される

という事業です。

キャッシュレス・消費者還元事業を行うに至った理由の1つとして、2014年4月に行った消費税率の引き上げが挙げられます。増税前は、いわゆる「駆け込み需要」で、高額のものを買い求める人も多く、景気は一時的に上向きました。しかし、増税後は一転して買い控えが起こってしまい、景気の後退につながったのです。今回の増税で、さらに消費税率があがることから、景気の後退を懸念する声が政財界からも多く上がりました。そこで、景気平準化対策の一環として、キャッシュレス・消費者還元事業の実施が決まったのです。
既にコンビニエンスストア・クレジットカード会社など、関連する企業がこの施策への取り組みの方針を発表しています。全く初めての施策であるため、景気平準化において、どれだけ効果があるのかはわかりません。それだけに、今後の展開を注意深く見守っていく必要があるでしょう。
     

 2019/08

海外出向者の所得税の非居住者の所得税の取扱

海外にいたら、日本の税金はどうなるの?

・ 海外に転勤になった
・ 転勤ではないが、1年近い長期出張が入った

などの理由で、生活の拠点を海外に移すことがあるかもしれません。そうした場合、日本の税金はどうなるのでしょうか?

ここでは、

・ 所得税
・ 固定資産税
・ 住民税

の3つの税金について、考えてみましょう。

所得税は1年がボーダーライン

所得税を払うかどうかの判定にあたって重要になるのが、「居住者」「非居住者」という考えです。日本国籍を持っている人でも、「どこに住所があるか」で、

居住者:日本国内に住所を有している(住んでいる)、もしくは海外への滞在期間が1年未満である。
非居住者:日本国内に住所を有していない(海外への滞在期間が1年以上である)。

のいずれかに分けられます。

そして、会社からの給料などの収入を、どこで受け取ったかも、判定を左右します。「どこで受け取ったか」で、

国内源泉所得:日本国内において受け取った不動産収入、給料、利子など
国外源泉所得:海外において受け取った不動産収入、給料、利子など

に分けられるのです。
ここまでの話を踏まえ、結論を出しましょう。

・ 居住者であれば、国内・国外源泉所得ともに課税の対象となる。
・ 非居住者であれば、国内源泉所得のみ課税の対象となる。

です。なお、非居住者であっても、国内源泉所得が年間20万円以上ある場合は、確定申告・納税が必須です。

固定資産税・住民税は?

次に、固定資産税と住民税についても考えてみましょう。まず、固定資産税は、「その建物、土地を所有している人」に対するものなので、どこにいても払う必要があります。
一方、住民税は、「前年の所得に基づいて、1月1日に日本に住所を有していた人」に課税されるものです。その年の6月から、翌年の5月まで、毎月支払います。例えば、2019年1月1日に出国したら、2020年5月までは住民税を払い続けないといけないのです。
出国のタイミングは自分だけでは決められない部分もありますが、住民税の負担も考えて、スケジュールを組みましょう。

なお、海外にいても確定申告・納税をしなくてはいけない場合は多々あります。
自分の代わりに納税をしてくれる人=納税管理人を立てると、楽に進められるので、親族に頼むか、もしくは税理士に相談しましょう。